季節もめっきり春らしくなってきた。桜丘の誇る桜通りの桜並木、そのつぼみも大きく膨らみ、今か今かと開花を待っている。花開くのは今週末、見頃は再来週といったところか。誰しもが見入ってしまう桜丘の桜、一見の価値ありなのでどうぞ足をお運びくださいませ。
春の始まり、それは当たり前だが冬の終わりでもある。熊など冬眠をする動物は、寝ながらでも春を迎えられるよう脂肪を蓄えてから眠りに就く。春夏秋冬、とりあえず毎日毎日活動をしている霊長目ヒト科ホモサピエンスでも、その動物的本能には変わりなく、冬場は脂肪が消費しにくい。暮れだ正月だと楽しいことも多かった冬場のツケは、春の足音とともに解消していこう。
今回そんな目的で訪れたのは、JR埼京線ホームの目の前にある『ウィン三迫ボクシングジム』。ホームから見えたサインにつられて行ってみると、看板にはボクササイズの文字も。
「お、いらっしゃい。この場所、ホームから目立つよね。このジムは元々、宮益坂で開いていたのだけれども、2003年の契約更新のとき、いろいろと考えつつ埼京線のホームにいたら空き部屋だったのが見えてね。それならばと移ってきて9年目になりますね。ホームから見つけて……という会員さんも多いけれど、私も同じ心境だったわけですね」
そう出迎えてくれたのは会長の三迫将弘さん。三迫さんは広島県の名門・広陵高校で2度の甲子園出場、プロボクサーとしても世界タイトル戦に挑戦(惜しくも敗退)したキャリアを持ち、また引退後にはトレーナーとして世界王者も育てている、名選手にして名伯楽。また、ボクシングを使ったエクササイズとして一般的に使われている“ボクササイズ”、この考案と命名も三迫さんによるものである。
「ジムに通っていた選手の奥さんが、みるみる引き締まったダンナの身体を見て、私もと相談に来たことがきっかけ。それでダイエットに体力強化などを組み合わせて考えたんですね。“ボクササイズ”って名前は代々木公園をジョギングしているときに思いついて、今は商標登録もしていますよ」
そう教えてくれた三迫さん、この4月で還暦を迎えるとは思えないほど若々しい(「写真は倅を撮ってください」ということで、見ていただけずに残念)。
「ははは。まあ、身体を動かしていますし、渋谷という若者の街で、若い選手や会員さんと同じ空気を吸ってますから。また、運動するのでもなんでも、若々しくいないといけないとも思いますしね。……たとえばですが、現役を引退してから35年間、選手を育てているわけですが、よく言われる“昔の人のほうが根性がある”、これはその通りだと思うんです。昔は『この練習しろ』と言えば、黙ってやる選手ばかりだったのが、いまは“なぜこの練習をするのか”も教えないといけないことがあります。これは面倒とかではまったくなく、“今の人たちにはこう指導する”と教える側が考えていくべきこと。その点でも気持ちを若く持っていないといけないと思いますね」
おっ、すみません、彼がもうすぐ試合なんでミット打ちをしますのでね……そう言って立ち上がった三迫さん、
「桜丘にはもともと友人がいたりした縁もありましたが、こちらにやってきて9年前よりずいぶん変わったなあと感じています。以前の桜並木は夜、暗かった印象があるのですが、今はずいぶんと明るくなりましたしね。それと同時に桜丘に来る人も増えているのではないでしょうか。そんな桜丘でこれからも強い選手を育てていければと思いますし、またお気軽に見学や体験にいらしていただければと思います」
では、とリングに向かった三迫さん。そのリング上ではそれまでと目が違ったことを書き添えておこう。
“ボクササイズ”の考案者にして名選手、名伯楽が桜丘にいる。今日も多くの人の健康と、次代の才能を育みながら――。
どうもお邪魔いたしまし……
「あ、もちろん体験していくよね? おい将史、こちらさんの後を頼む」
……その模様は下にてどうぞ。そこにも書いてあると思うけれども、痩せますよ、これ。痩せないわけがない(泣)。
Q・あなたにとって桜丘とは?
「来てから2、3年で、"住みたい街"だなと思いまして今に至ります」
まさにボクシングジムなアイテムの数々。
この風景でたいていの男子はテンション上がります
【今回の桜な人々】
ウィン三迫ボクシングジム
マネジャー 三迫 将史さん
〒150-0031
東京都渋谷区桜丘町3-4 渋谷黒川ビル2-2A
(マップ)
ホームページ
http://www.winmisako.com/