外見は超美人、中身は全然大人になり切れていないゴーストライターを『モンスター 』でアカデミー賞主演女優賞を獲得したシャーリーズ・セロンが演じた本作。落ち目の自分にハッパをかけ、高校時代の輝きを取り戻すために今は妻帯者である元カレに猛アプローチをかけるイタい姿に、思わず釘付けになってしまうのだ。
大都会ミネアポリスのビルの一室に自分の部屋を持つものの、部屋は片づけずにそこら中に物が転がっている……そんなダメダメな37歳の女、メイビス(シャーリーズ・セロン)。ティーン向けのアダルトノベルのゴーストライターで生計を立てていた彼女だが、シリーズは打ち切りとなり、今や最終回の原稿を手掛けるのみ。しかもその原稿さえまったく進んでいない。そんな彼女に、一通のメールが届く。なんとそれは高校時代の元カレの赤ちゃんの誕生パーティーへのお誘いだった。クサクサしているこの状況を打開するには元カレとヨリを戻すしかないと一方的に思ったメイビスは、ダサい故郷の田舎町、マーキュリーへと帰省するが……。
どう斜めから見ても元カレ夫妻はラブラブで、離婚のリの字も見えない。にも関わらず、ティーン向けの小説を書いてばかりいたメイビスの脳ミソは職業病よろしくティーンそのもので、元カレのどんな言葉も「自分に気がある。彼は妻を捨てて私と一緒になる気だわ」と思い込む。おまけに何もないダサいだけの故郷を心の底から憎んでおり、当然そんなくだらない生活に甘んじている故郷の住人も見下している。ここの住人から見たら自分はまだ成功しているほうなのだが、いかんせん「作家大先生」ではなく「ゴーストライター」だわ、シリーズは打ち切りになって先の生活が見えないわで、そのあたりのフラストレーションもメイビスの奇行に拍車をかけている。
そんな負け犬アラフォー女を外見バッチシのシャーリーズ・セロンが役にズッポリと入り込んで演じているから、外見と中身のギャップに、イタさ全開が180度回って痛快にも感じられてくる。
特に、町のとあるイベントでとある人物を睨み付ける表情なんて爆笑もので、魔除け代わりに額に飾っておきたくなるほどなのだ。
あのクエンティン・タランティーノ監督も2011年のベストムービーに選んだという本作。
主人公が最終的にイイ人に変わってしまうわけでもない、ハリウッドのフォーマットから外れた異端児ともいえる痛快な一本だ。
監督:ジェイソン・ライトマン
脚本:ディアブロ・コディ
出演:シャーリーズ・セロン/パットン・オズワルト/パトリック・ウィルソン/エリザベス・リーサー
配給:パラマウント ピクチャーズ ジャパン
公開:2月25日(土)よりTOHOシネマズシャンテほか全国にて公開
公式HP:http://www.young-adult.jp/
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