密闘&義闘&宿闘――渋谷署強行犯係シリーズ3作

今のところ「渋谷署」シリーズは3作だが、断言する。4作目は必ず来る。いや5作、6作と続くはずだ。
ともかくも、3作揃えて入手の上、読み始められるが懸命。1作目読み終えて、2作目入手まで時間を要すると、相当イライラすると思うよ。3作目も以下同文。
ってかね〜、3作目を読み終えても気落ちしないようにね〜。
ってぐらい面白いよ、ほんと!

1作目をテンポよく、じゃんじゃん読み進めると、渋谷署強行犯係の刑事・辰巳吾郎と腕利きの整体師・竜門光一両人のキャラにも馴染んできて、2作目を読み始めるころには「辰巳刑事の腰痛が出るタイミングだな」、「そろそろ竜門がジェルで髪を固めてお出ましかな」などストーリー進行を作品と共有するようになる。3作目で、すっかり両人のファンになりきったころに「続き」がないのは、如何にも寂しい!
請う! 熱望! 次作・4作目、5作目&…!!

「密闘」「義闘」「宿闘」の3作、いずれも、すなわちコンセプトは「義」よりて「闘」する。3作3様の「武術」が紹介されている。これが面白い。映画化されたらカンフー映画に負けないね。痛快だよ。
それもそのはず、著者は空手3段、棒術4段で「今野塾」を主宰している。むべなるかな。
「武」の「義」を通し、「術」は微に入り細に入り表現される。臨場感と、映像的でさえあるシーン展開で「現場」にシンクロして読者も息をのむ。

「挙鬼伝」、「賊狩り 挙鬼伝-2」、「鬼神島 挙鬼伝-3」を改題した、いわば二次文庫化だが、ものの見事に目論見は成功したと言える。タイトルは大事なのだ。ましてや、著者は「警察ものを得意とする」と世間で認知されているのだから。
かく言う筆者が本シリーズを手に取った直接の動機は「渋谷で働いているから」という、ごくごくシンプル! 元の表題だったら、手に取るのが幾分か遅くなったに違いない。

読後は爽やか。そして真摯な気持ちにも。
そうね、武道の道場に漂う厳粛かつ静寂な空気感に似てるかな?


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作者名:今野 敏
ジャンル:警察ミステリー
出版:徳間文庫
※3冊とも

密闘
義闘
宿闘