去る8月10日(水)、映画『アントキノイノチ』の完成記者会見が東京・ホテルニューオータニで行なわれ、キャストの岡田将生、榮倉奈々、原田泰造、松坂桃李と瀬々敬久監督が登場。
まずはご挨拶からどうぞ。
瀬々監督:ちょうど“無縁社会”や“孤独死”などが注目されていたころに“命”の繋がりということを考えて製作を始めました。今年の3月1日に撮影に入り、震災後「今、映画を作っている場合なのか?」という心の揺らぎもあった。しかし、逆に命の大切さや繋がりを絆ということを、人々は求めていたとあらためて気づかされた。また、主人公二人の“生き残ってしまったことの苦しみ”ということも震災から感じとることにもなった。今の時代に、私たちの考えた“命の大切さ”がこの映画を通して伝わっていけばと思っています。
岡田:『アントキノイノチ』というタイトルだけ見るとコメディっぽい映画だと思われる方もいるかもしれませんが、“命”というテーマを大切にあつかっている作品です。ぜひ、若い人たちに観ていただきたい作品になっています。
榮倉:“命”ということと“生きる”ということについて考えることの多いこの時期に、この『アントキノイノチ』という、そのことをテーマにした映画に携わることが出来て、とても嬉しく思います。
原田:ちょっと立たせていただきます(おもむろに立ち上がる)。
♪〜曲がったことが大嫌い〜♪ショーシューリーキーー♪(記者席からなぜか拍手が!)
なぜ歌ったのか、今、深く反省しています…。
映画のオファーが来たとき「とうとうプロレス映画がやって来たか」と思ったんですけど(笑)、台本を読んでみると素晴らしい作品で泣けてしまって……。出来上がった作品を観て、まあ、この二人(岡田、榮倉)が凄くて観終わった後、二人を抱きしめたくなりました。それをあたたかく見守る僕がいる。自分で自分を抱きしめてあげたい!
以上です(笑)。
松坂:台本をいただいたときに、松井という人物にまったく共感が持てなくて、理解に苦しんで自己嫌悪になりながら撮影をしました。出来上がった作品を観て彼が誰よりも“生きたい”ってことを伝えたかったんだなって思いました。そのときに初めて彼に共感することが出来ました。
キャストのみなさん、瀬々監督の撮影中のエピソードなどがありましたら教えてください。
岡田:いきなり「脱げ!」って言われて、ちょっとビックリしましたけど、素直にズボンを下ろしている自分がいました。もう僕は瀬々監督に心を預けているんだなって思いました。
榮倉:監督のエピソードはいっぱいありますね!
私の目標は監督に名前を憶えてもらうことだったんですけど……。監督は私に岡田さん岡田さんって言うんですよ。岡田くんいないのに……。私のことを呼んでいるんだなって思って「私、榮倉です!」て言うんですけど、名前を憶えてもらったのが、撮影終了の一週間前くらいなんですよ。
瀬々監督:僕の世代では“岡田奈々”がいまして、それがどうしても……。
岡田:監督それはダメです!
榮倉:あと、「カーット」って言いながら鼻水ダラーって、それを見てスタッフ、キャストみんなで監督のこと応援したいよねって!
原田:ワンカット、ワンカット眉間にしわをよせて「ウ〜ン、OK」って言うんですけど、そんなに俺ダメなのかなって……(笑)。
松坂:山のシーンのロケハンで監督が足を骨折されて、それでも撮影当日は一緒に山を登ってこの人凄いって思ったんですけど、僕と岡田くんに「松岡くん」って(笑)。二人とも振り向きました。
主役のお二人は今回、初共演ですがお互いの印象を教えてください。
岡田:榮倉さんは2歳年上なんですけど、凄く喋りやすくて歳の差を感じさせないくらい。とても心が和らいでいる自分がいて、良かったですね。
榮倉:岡田くんは眼が純粋なんです。なんか、小学生と喋っているみたいで、凄く楽しかったです(場内爆笑)。可愛らしい人です。
岡田:ウ〜ン、もう22歳になるんですけど……ありがとうございます……。
本作は第35回モントリオール世界映画祭ワールド・コンペティション部門に出品されることになった。瀬々監督、岡田、榮倉の3人も出席する予定。榮倉は「国境を越えて観ていただけるのは非常に楽しみです」と語った。
原作:さだまさし『アントキノイノチ 』(幻冬舎文庫)
監督:瀬々敬久
出演:岡田将生/榮倉奈々/原田泰造/松坂桃李
配給:松竹
公開:11月19日、全国ロードショー
公式HP:http://www.antoki.jp/index.html
©2011『アントキノイノチ』製作委員会