昨日6月16日の早朝(日本時間)、北米大陸を除く全世界的に「皆既月食」が観測された。いわゆる月が完全に欠けてしまう“本影”の時間が2時間弱もあり、この規模の皆既月食は2000年以来。我が国では月の欠け始めがおよそ午前3時22分、皆既月食となるのがおよそ午前4時12分、月食の終了時はすでに日が出ているという明け方の天体ショーとなったためか注目されづらかったが、中央アジア周辺では月食の始まりから終わりまでを観測することができ、現地では大きく取り上げられていた。なお、2時間規模の皆既月食は約7年後、18年1月31日に再びやってくるということである。
皆既月食。太陽からの直接光は地球に遮られるが、
地球からの間接光により月食中は赤い月となる
そんなわけで今回は月食、そして日食のおはなし。
月食とは、「太陽・地球・月が直線上に並ぶ」という位置関係の際、「太陽の光によってできた地球の影が月に掛かり、“欠けているように見える”」現象を指す。太陽と月が地球を挟んで直線上にある場合、地球から見える月は「満月」。つまり月食は「満月の日で、かつ地球も太陽と月の同一線上に入る日」に起こるのだ。
では、太陽と月が地球を挟まずに直線上にある場合、地球からはどんな月が見えるのか。答えは「見えない」。つまり「新月」である。そして、新月の日に地球が太陽と月の同一線上に入る日に起こるのが「日食」。こちらは「月が太陽を覆い隠す」現象だ。
満月と新月は月に一回必ずやってくるにも関わらず、そのつど月食・日食にならないのは、太陽の軌道である「黄道」に対して、月の軌道である「白道」が5度ほど傾いていることに起因する。これについての詳細な説明は割愛するが(いずれまた)、この5度のズレと太陽・月・地球とも軌道が楕円形であることが、月食・日食の発生や観測可能地域、さらに部分月食(日食)か皆既月食(日食)かなどに影響を及ぼしている(なぜ小さな月が大きな太陽を覆えるのかといえば、地球の軌道と黄道が楕円だからこそ起こる“遠近感”によるわけだ)。
ちなみに、次に我が国で観測できる月食は本年12月10日に皆既月食、日食では翌12年5月21日に広い範囲で「金環日食」が発生する。金環日食とは月にすっぽりと太陽が覆われる皆既日食の逆、月の外側に環のように太陽が残るもので、首都圏での金環日食の観測は173年ぶりとなる。晴れてほしいものですね。