フランスのチェーンスーパー
「すっごく匂うけど、貴方なら食べられると思うの」
意味ありげな笑みを浮かべながらフランスの友人は私にお土産をくれた。厳重に包装されたそれは青カビに包まれ、凄まじく自己主張する匂いを放つロックフォールチーズだった。
それから半年後、フランスに行く機会に恵まれた。トランジットのため立ち寄ったので滞在はほんの1日半。半日は美術館に行くとして、後は何をしたものか? 奇しくも季節はバーゲンシーズン。有名ブランドがこぞって大幅値下げとなり、ファンにとってはたまらない時期ではあるが……私はブランド物には興味がない。限られた時間で面白い食材を探すため、デパート、スーパーの営業時間を調べあげて食品売り場に入り浸ることにした。
デリ式チーズ売り場
さまざまな瓶詰に萌える
デパートの食品売り場は国内外の食材で溢れており、日本では入手が難しそうなレトルト食品や、缶詰などの宝庫である。パテの瓶詰めに書かれた動物の絵などを見て「ウサギ肉のパテ…?どんな味なのだろう。」と想像するだけで、楽しくなってくる。
これでもかというくらい、チーズ!
特にチーズ売り場が面白い。その日食べる分だけをカットしてくれる、デリ形式の売り場が大人気。夕食時には長蛇の列ができていたのが、食卓にチーズを欠かさない食文化を物語っていた。また、どんなに小さなスーパーでもチーズ売り場があり、ゆうに20〜30種類は揃っていたのではないだろうか? その中に、件のロックフォールチーズがあった。気になるお値段は 2.2 EUROと、約250円程度。日本では値段が倍に跳ね上がるので安い!! と、すかさず買い物籠に放り込む。
こちら、ご自宅用です
さらに山羊のチーズ、チーズフォンデュミックス、フォアグラ、クスクスなどを買いこみ、 トータルで4000円ほどになっただろうか。機内持ち込み用のトランク一杯に、フランスの食材を詰め込んで帰国した。
強烈な匂いや、痺れるような青カビの舌触りに抵抗がある方は多いと思う。しかし塩気とクセの強いロックフォールチーズは、以外にも甘い物との相性が抜群である。少し蜂蜜を垂らして食べると、塩味と甘味が抜群のハーモニーを奏で、べらぼうに美味。
また、生クリームやコンソメと合わせたチーズソースとしてペンネと絡めたり、ヨーグルトなどと合わせたディップにして、野菜につけると比較的食べやすい。
好き嫌いは分かれるかもしれないが、そこは慣れである。工夫次第で食べやすくなるので見つけたらぜひ試していただきたいと思う。