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<フワフワチュールのソメソメ>


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今はアクセサリーをつくっている私ですが、出身はテキスタイルです。大学時代はつなぎを着て染めたり、織ったり紡いだりしていました。なので今頃になってその頃学んだ事の一部が応用されて役に立っています。

私のつくるものの中に柔らか〜いチュールの作品があります。チュールは大好きな素材です。透け感と生地の重なりが美しく、かと言ってシフォンやオーガンジーの様にフォーマル感は無いので私の作風にはうってつけです。
チュールはシルクや綿なともありますが、今はナイロンが主流です。バレリーナが白鳥やオーロラ姫など現実離れした役で着る衣装のチュチュという張りのあるスカートもチュール素材です。チュチュは特に堅いチュールで作られているので、チクチクして痛痒いのですよ!このチクチク痛痒いほどの張り感もナイロンチュールの特徴であり、時には嫌われる原因にもなります。
私が好んで使っているチュールは頬ずりしたくなるほどの柔らかさで触ったり纏ったりすると何とも幸せ気分になり、ちっともチクチクしません。よくシルクかしらと言われるのですが、シルクは張り感がなくクタクタな風合いでベタベタと貼りつく感じです。その上破け易く、更にとーってもお高い!ナイロン独特の張り感あってこそ、空気を含んだような質感が生まれるのです。

このチュール、実は私がコテコテ染めています。色物が売られていないというのが発端でしたが、結果としては自由に染められるので良いことでした。ナイロンはどの染料でも染められるので便利な素材です。台所で一枚ずつ、染料を飛び散らかさない様染めています。
この色出しがまたドキドキなのですね。一種類の染料で染めるのでしたら同じ色に染まりますが混色すると毎回違ってしまいます。本当はきちんと計って染めれば間違いないのですが、どうも私にはそちら方面の緻密さが欠けているらしいです。料理の調味料みたいなノリでしょうか?ボールを覗き込んでいいなと思ったらOK、少しずつ違ってもその方その方で似合われる色、お好きな色は違うのですからかえって良いのでは?なんて言い訳しています。展示会でオーダーをいただく訳ではないので、それそのものが良い色ならばそれで良いのではないでしょうか。

このチュールを使って色々つくりますが、特にコサージュのようなモチーフがついた大判のストール、一年中使えて皆さん“便利!!”と言って下さいます。今くらいの気候になってくると特にお役立ちものになります。
小さくまとめてバッグに入れてお出掛け、秋の気分を演出したり、実際に空気を含むので暖かくもあり。この秋話題のライダースのようなハードなものと合わせるのは最も私の好きな甘辛バランス。大きく広げて羽織ったりオーバードレスのようにもすれば晴れの場にも。ついつい何色も求めて下さる方々に申し訳ないと思いつつ、確かに〜と私も納得してしまいます。
良い素材との出会いに感謝です。