トップページ >  連載 >  これが Momi Style

<少々ややこしいけど、面白い 真珠の話し>

真珠にはあだ名や通称が多く、一般的に間違ったまま浸透してしまっている概念や知識が多い気がします。
雑誌や本に書いてある真珠についての話しも、"それじゃ、縦軸と横軸がごっちゃで混乱しちゃうよ!" ということ多しです。
私としては先ずは母貝である貝の種類の説明。
次に真珠の成り立ちから来る真珠の種類。
そして形状から来るあだ名や感覚的な分け方の話しの順に進めた方が分かり易いと思うのですが。

momi238_01.jpg 先ずは貝。
真珠は基本、あらゆる貝に存在し得る物です。貝に入った異物に貝の分泌物である真珠層が巻いた(くっついた)ものが真珠。
胆石みたいな物ですね。(と思っていたら、今日のTVでちょっと違うことが判明。胆石は胆汁その物が固まった物だそう。)
それが美しいか美しくはないかで宝石と思われたり石ころ同然に思われたり…

真珠と理解されている代表的な物は
アコヤガイから採れるあこや真珠。一般的な真珠貝の中では一番小さく、日本で採れる代表的な物ですが、中国やベトナムでも盛んにつくられています。。中国産のものと区別するために和珠とも言われます。何故か本真珠という名前もあって、これは混乱させる名前ですね。

momi238_02.jpg 次に南洋真珠。
これもややこしくて、時の如く南洋=オーストラリア辺りやタヒチ辺り、日本でも沖縄で採れますが実は二種類あります。
白蝶貝という白っぽい貝と、黒蝶貝と言う黒っぽい貝。何方も大きな貝ですから出来る真珠も大珠です。
これも何故か白蝶貝のみ南洋真珠と呼ばれています。そして黒蝶貝は黒真珠とか、ブランド化している産地であるタヒチパールと呼ぶのです。

そして、前回も触れたイケチョウガイやカラスガイから採れる淡水真珠。真水に生息する大き目の貝で多産型と書きました。湖水真珠とも言われます。

他にもコンク貝という大きな巻貝から採れるピンクの真珠やメキシコアワビから採れる七色の真珠、マベ貝の殻にくっついて出来るので半球でデビューするマベパール、ミシシッピ川のみで産出する淡水真珠のフェザーパール(正確な名前は調べていません。非常に高価な真珠です) などなど沢山の貝から様々な真珠が出来るのです。

これら全ての真珠は、核が有るか無いかに先ず分けられます。
淡水以外は基本的に有核。しかし、基本に反するものがそれぞれにある訳で、核の無いものは無核が正確な呼び名ですが日本ではケシと呼びます。"芥子の実の様に小さい"から来ています。海外ではシードパール。種ですね。当然どの貝から採れるかで大きさも全く違う訳で、それが呼び名の違いによく表れているなぁと感心しています。
核を入れて養殖するのとは違い、自然にしか決して出来ず、副産物的に出来てくるケシパールは当然高価なものとなります。
よく淡水真珠と間違われますが、違うものです。

momi238_03.jpg そして形状。
真円のもの…よく華珠(はなだま) という名を聞きますが、これは真円をブランド化した名前であって華珠という種類ではありません。こういう名前って勘違いし易いと思うのですが…。
だいたい、"真珠が丸い" というのも間違い。本来天然の真珠が丸いはずはなく、丸っこいぐらいがせいぜい。そんな中 奇跡的に丸いものが現れるととんでもなく高値が付いたのでしょう。昔、真珠はダイヤモンドより高かったそうですから権威の象徴として、丸くて大きな真珠は王族の身をびっしり覆っている絵が残されていますね。
そこへ、日本人が養殖技術を開発したものですから、まん丸い核を入れて真円真珠を作り出す確率が格段に上げたのです。そして "丸い事は良いことだ" の意識が隅々にまで浸透した(させた)
以前、"おたくの真珠は丸くないんですね"と驚かれましたが、驚いたのはこちらでした^^;

では真ん丸くない真珠の名前は…?
ここからはかなり感覚的になるので、お好きに呼んではとも思います。
が、代表的なのはやはりバロックパールでしょう。バロックは歪んでいる という意味。感覚として柔らかい形に歪んでいるもの…でしょうか。
淡水真珠にはバロックと呼ばれるものは有りませんが、花びら真珠 或いはコーンフレークと呼ばれる平べったい真珠。これは大好きな真珠なので度々登場の真珠です。
細長いビワ (何故?) 、ポテト、ライス、更に人工的に何かの形の核入れもするので様々あります。

それと、形状とは少し違うかもしれませんがベビーパールというものがあります。
これは有核で5mm以下のものです。
ベビーにも真円やバロックなどそれぞれあります。
これも人工的に核入れをして作り出しているのですが、小さいので兎に角手間がかかります。そしてその見返りが大きな真珠に比べて少ないのです。よって、後継者か居なくなるという結果。どんどん世の中から消えつつあり、レアなものになっています。

momi238_04.jpg これらの上に、加工というものがあって磨いたりの整える加工のみならず、漂白 (これも日本人が開発!) 、染色 (調色という耳触りの良い言葉で呼ばれます。染料で染めること) 、着色(薬品などで色を変える)、γ線などの照射による変色…
(こんなこと書いて、ワタシケサレルカナ?(^o^)/)
ん〜、真珠も受難ですね。皆さんの目にする真珠の殆どが実は何らかの手が加えられて色が整えられているのです。これでは工業製品ですね。ま、工業製品が悪いことは全く無くて、好きならば、美しければ良いと私は思います。

ただ、私は自分で付けるなら自然の真珠の美しさが現れているものが好きです。そしてその方が日常的に付
け易いと感じています。
アコヤに多いナチュラルブルーは真珠の有機質のしみですが、美しい色です。滲んだみたいになっていても結構。少し黄色みがかって若草色になったのも惚れ惚れします。

真珠の世界では丸い事、大きい事、照り(巻き)が良い事、色が揃っている事(ネックレスの場合) が良いことだ、なのですが、丸い事と色が揃っている事を捨てている私。微妙に色が振れているのも好きですし、少しずつ色味の違うのも何ともかわいいものです。この違いは流石に白い服のうえでないと見えにくいのですが。

淡水のナチュラルカラーは実はピンクです。白は脱色したもの。モーヴピンクを選べば肌馴染みの良い大人なピンク。白蝶真珠のゴールドも良いですが、それ以上にさり気なくふくよかな真珠です。

私のお気に入りのチョッピ真珠。アコヤ特有のツノが付いた真珠です。ちょっとピッと出ているからついたあだ名ではないでしょうか。
普通はツノが縦に向く様に穴あけをして隠しますが、私は横向きが好き。ツノがツンツン出てかわいいのです。テクスチャーとしても面白いし、これぞナチュラルスタッズ!

"明らかに染めました" のパールだって使います。楽しい素材ですね。

書き出したら切りが無い真珠の話し。まだまだ語り切れていません。自分でもこんなにハマると思っていなかった真珠の世界。
美しくて可愛い真珠、ヤンチャなデザインにしてもその実力を必ず発揮して女っぷりを上げてくれる真珠。
私は真珠のグループに "フィデル" というグループ名をつけています。"誠実な" という意味です。
冠婚葬祭だけではなく、日常の楽しみとして様々な真珠に親しみたいと思うのです。

『えんどう もみ 2014 Autumn Collection ワールド・ジュエリー・フォーラム 松屋銀座1階 Space of GINZA』のご案内はこちら

松屋銀座2013 Autumn Collectionの様子はこちら
MAD Tea Party ダンス・ダンス・ダンスの様子はこちら

松屋銀座2013 Spring Collectionの様子はこちら

momi2012 in Wa2の様子はこちら
チャリティーサロンTRINITYの様子はこちら
松屋銀座2012 Autumn Collectionの様子はこちら
松屋銀座 2012S/S Collectionの様子はこちら
ギャルリー ワッツ『えんどうもみ展』の様子はこちら
Gallery O2『えんどうもみ新作展』の様子はこちら
松屋銀座 2011 A/W Collectionジュエリーフォーラムの様子はこちら
前回の企画展『盛装ピクニック』の様子はこちら
松屋銀座イベント取材風景はこちら