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<ハートの女王の庭で>

この頃好き好きな舞台。
英国ロイヤルバレエ団の新作"不思議の国のアリス"
まだ来日はしていないのでDVDで見ているのですが、舞台という限られた空間でよくぞあの不思議の世界を表現していると感心してしまいます。
アリスが大きくなったり小さくなったりの表し方、兎の出現。

momi190_01.jpg 更に何よりも面白いのは強烈なキャラクターの存在です。
主役であるアリスの存在をはるかに凌ぐ魅力で圧倒されてしまいます。
数学者であるルイス・キャロルによって児童文学として書かれたアリスですが、その文章には洗練された言葉遊びが仕込まれ大人をも・・・と言うか、大人にこそ楽しめる文学なのではないかと思います。 私自身、アリスは子供の頃好きではありませんでした。
何やら難解で暗いイメージがしたのです。
あの有名な挿絵の影響もあるかもしれません。

このバレエ全体を支えているキーワードは「二重性」です。
1つはキャラクターの二重性。
アリスが生きる現実に存在する人々は、不思議の国でそのキャラクター性を強めて再び登場します。
アリスの家に招かれた客人であるインド人は、しなやかでエキゾチックな"青いイモ虫"に。

momi190_02.jpg マジシャンはマッドハッターとなって、映画"赤い靴"に登場する靴屋さながらの表情で狂気の様なタップを踏みます。
乳母車を押した巨大な母親はブタのお母さんに、理解ある小父さんは物語を導く白ウサギに。
そしてこの白ウサギ、実は原作者のルイス・キャロルでもあるのです。
抑圧的な母親は、暴君でエキセントリックなハートの女王として登場。
モデルのように完璧な容姿なのに、闘志むき出しのクリケット。
タルトに目が無くて"タルトを食べたヤツは死刑!"

momi190_03.jpg 死刑執行人と斧を振り回してタンゴ!
でもかわいそうなトランプの家臣達と無理やり踊るのは、「眠れる森の美女」の優美な名場面であるローズアダージオをパロったタルトのアダージオ(?!)。
このバレエの名作からのファンキーな引用が第二の二重性であり、あちらこちらに配されていてバレエを知る人をディープに楽しませています。

momi190_04.jpg 家臣達は死ぬほど恐れて逃げ出したいのに、女王は4人を従えて踊るのがうれしくて仕方ありません。
ニッコリと満面の笑み。でも結果は惨憺たることに・・・。
美しい女王様、あーあ・・・
こんなわがままな女王がいたらとんでもないことなのですが、何て魅力的なのかと私は思ってしまうのです。
自分の思うままに、やりたい放題で子供の様な女王。
赤が好きで、赤以外は死刑!あれもこれも死刑!死刑!
夫であるハートのキングも足蹴にされ、為す術がありません。

momi190_05.jpgハートの女王の庭で繰り広げられる馬鹿騒ぎは収集がつかず・・・ "一見くだらないことに真剣に入れ込む"と言われる英国人気質がたっぷりのこのバレエにぞっこんです。
私もそんな英国人の一人になって、馬鹿げたハートの女王を追いかけますよ!
死刑!にならない様、用心しながらね。

–イベントのお知らせ–

えんどう もみ展

ハートの女王の庭で

ギャルリー ワッツ
10/29(mon)-11/3(sat)
12:00から19:00(最終日は17:00まで)
03-3499-2662
http://www.wa2.jp

えんどう もみ 2012 Autumn & Collection

少年 de Dramatique

Bijouxを身に纏えば 気分はドラマティック
Autumnテクスチャーに 煌きのパンチ
すまし顔の やんちゃLady


横浜高島屋

2階正面エスカレーター横特設会場
10月17日(水)から23日(火)

チャリティーサロンTRINITYの様子はこちら
松屋銀座2012 Autumn Collectionの様子はこちら
松屋銀座 2012S/S Collectionの様子はこちら
ギャルリー ワッツ『えんどうもみ展』の様子はこちら
Gallery O2『えんどうもみ新作展』の様子はこちら
松屋銀座 2011 A/W Collectionジュエリーフォーラムの様子はこちら
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