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<思い出の形>

vol176_01.jpg 思いもよらぬことから、このリングは生まれて来ました。
小さい時からずっと友達のmakiちゃんから
"どこかで買ってきたらしいんだけど・・・、形にしてくれる人はいるかしら?"
と聞いたのはもう半年も前でしょうか。
makiちゃんのお父さんが、お母さんにと買ってきた石。
どの位の年月が経ったのか、今もmakiちゃんの手元でそのままの形です。
こんな感じで良ければ〜、と言って預かった石はファイヤーオパールという鮮やかなオレンジの石が大小2ケとよくわからないムーンストーン的な光のアクアブルーの石。
本当は、石をお預かりしてのオーダーは怖くて出来ません。
もしもの事だって充分に考えられるので、弁償なんて出来るものではないからです。
でもついつい受けてしまいました。あー、どうする?!

makiちゃんはどちらかと言うとクールでプラチナ系の似合う方。でもクラシックな装いが素敵なのです。
昔はスポーティーで真っ黒になって走り回っていたのにねぇ、いつの間にこんなにしっとりした女性になったのでしょう。シツレイ!
そこをあえてGoldでつくることにしました。
2ケで1本、1ケで1本のリング、単独でも2本を組み合せても使えます。
形はとてもシンプルです。が、ベースのリングは例のごとくタテにペタンコ。
石の台座も極力薄く小さくして石の下に隠します。
カラフルな石が組み合わされるスタイルと形はモードな香り。
そして職人技の緻密な彫りをベースの3面に施します。
こちはクラシックの極み。
このモードとクラシックの同居したリングは是非とも金でつくりたくなりました。
この頃は何故か若い人たちに人気のGoldですが、一般的に金は派手と思われがちです。
ボリュームたっぷりだったり、ツヤツヤギラギラの面積が大きいと派手に見えたり、年代が上に見えてしまいますが、テクスチャー等を工夫すると肌色に馴染んで本当に美しいものです。
預かった石にもよく馴染み、その美しさを引き立て、かつクラシックも強調する金。
しかし・・・難しかったです。私の技術の未熟さゆえお待たせしてしまいました。

vol176_02.jpg 先日やっとやっとお手元に届けることが出来ました。
素敵なmakiちゃんのご自宅で二人だけの引き渡し式。
お手製のスウィートポテトをいただいたり、庭を眺めたりしながら、何だか昔に帰った様でした。
二人とももう子供ではないけれど、年月が経っておじ様おば様も天に召され、それでもこうしてたわいのないおしゃべりしている私たち。
makiちゃんの子供たちもそれぞれの道を行き、あ〜その子供たちでさえ昔の私たちよりずっとずっと年上なのよね。
お互いの生活に追われてちょっと間が空いてしまったけれど、こうして分かち合えるのは何と楽しくて幸せなことなのでしょう。

"どんな風に出来上がってくるか分らないでお任せする贅沢をさせてもらいました"
と言ってくれたmakiちゃん。
普段は全く扱わないタイプの石なのに信頼して自由につくらせて下さり感謝です。
お互いに"こんなことがあるとはね〜"と顔を見合わせましたが、これもこの石が手元に残されたからです。
おじ様おば様にも感謝。
優しかったおじさんは"良かったね、makiちゃん"って言ってくれるかな?
おばさんはちょっとおどけた口調で"い〜じゃん"ってニタリ?

それにしてもあのリング、私も好きになりました。
良いお勉強もさせていただきMerci!

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