1993年より毎年開催されているフランス映画祭もすっかり定着した感があるが、2007年、すなわち今年の目玉は、その映画祭来日団長としてカトリーヌ・ドヌーブが任命されたことだろう。
そのカトリーヌ・ドヌーブ、シネマピアでもご紹介した「輝ける女たち」にも出演しており、現在でもその「輝き」を十分堪能できるのだが、そんな円熟というか、したたかで老獪な演技のカトリーヌ・ドヌーブも魅力的だが、多くの読者の方々にとっては、可愛らしくも妖艶な、若き日のカトリーヌ・ドヌーブの印象が強いのではないだろうか?
と、思ったので、早速借りてきましたドヌーブの旧作。行ってきたです近所のTSUTAYA。今回観たのは、ドヌーブの代表作であり、出世作とも言える「シェルブールの雨傘(1964)」(*注1)
ミシェル・ルグラン作曲のテーマ曲は世界中で大ヒット(*注2)し、そのメロディは誰でもが一度は聞いた事があるだろう「シェルブールの雨傘」は、全編が歌で綴られる、ほんのちょっぴり切なく悲しいミュージカル映画だ。
この作品は1964年のカンヌ映画祭のグランプリを受賞したが、いやしかし、今観ても斬新で面白い。ミュージカル映画といっても、単に全てのセリフが歌、と言うだけで(つーか、それだけでも十分スゴイが)中身は普通のラブロマンス映画を押し通す。
監督のジャック・ドゥミと撮影のジャン。ラビエの描き出す雨の港町シェルブールの美しさは、ヨーロッパらしく落ち着いた色彩と書き割りみたいな色彩設計が混在とする不思議な感覚が印象的。恋人たちのちょっとしたすれ違い、経過する時間の運命に翻弄される2人を描くシンプルなストーリー。そして何よりも当時20代前半のカトリーヌ・ドヌーブのかわいらしさったら、もう「萌え」ますマジで。
それにしても、60年代ファッションが似合うこと似合うこと。オードリー・ヘプバーンとは違った、少しエロ入った可愛らしさがドヌーブの身上だろう。ラストに向かっての胸キュンな筋書きに、かつての若造たちの胸を、あの有名なメロディと共に今でもキュンと締めつけてくれるに違いない。
世代的に劇場では観ることが適わなかった、というか正直言えば初見の「シェルブールの雨傘」だが、参りました。カトリーヌ・ドヌーブ、可愛くてキレイでスゴイです。その可愛さには完ぺきにクラクラしてしまうです。最新作の「輝ける女たち」の芝居と比較すると、もちろん若さというか、甘い部分も見えたりするけれど、それでもカトリーヌ・ドヌーブは、若い頃からタダモンじゃあ無かったということを実感できる。
もしフランス映画祭2007で、あるいは劇場で「輝ける女たち」を観る機会があったら、その後にぜひ「シェルブールの雨傘」をDVDやビデオで観賞する事をお奨めしたい。たぶん、いや、きっとドヌーブのファンになります。73%の確率で。
*注1:「シェルブールの雨傘」のDVDは、現在廃盤となっており、市場での中古価格が12000円程というプレミア価格が付いているほどの人気作品。レンタルショップでは在庫しているところもあるようだが、今回はVHSビデオでの観賞/レポートである。
*注2:そういえば日本でもその昔、グラシェラ・スサーナが「シェルブールの雨傘」を「日本語」で唄ってヒットさせたことがある。
*フランス映画祭公式サイト
http://www.unifrance.jp/festival/index_pc.php
シェルブールの雨傘(DVD)
監督:ジャック・ドゥミ
脚本:ジャック・ドゥミ
出演:カトリーヌ・ドヌーブ /ニーノ・カステルヌオーボ /エレン・ファルナー
ジャンル:洋画 クラッシック