★カトリーヌ・ドヌーヴ10年ぶりの来日決定!
最新作はフランス映画祭2007 オープニング作品
カトリーヌ・ドヌーヴ、というと、「シェルブールの雨傘(1964)」や、「昼顔(1967)」での可憐な姿が印象的な、世界中に多くのファンを持つフランスの女優である。日本においてもある一定の(ドコを基準とするのかは、まあ、曖昧に)年齢より上の方々にとって、なんかこう、鼻の奥がツンとくるような甘酸っぱさというか、ショッぱさを感じさせてくれる女優のひとりだと思う。
そのカトリーヌ・ドヌーヴ、1943年生まれだから今年でなんと64歳。未だスクリーン上でその存在感を存分にアピールしている、その最新作が「輝ける女たち(原題:Le HEROS DE LA FAMILLE)」だ。
この「輝ける女たち」は、カトリーヌ・ドヌーヴをはじめ、エマニュエル・べアールやミュウミュウ、ジェラルディン・ぺラス、ジェラール・ランヴァンなどフランス映画界でも実力派と言われるメンツが勢ぞろいして、ちょっと変わったファミリードラマを演じている。
舞台になるのは、著名なリゾート地であるニース。裏町にあるキャバレー「青いオウム」のオーナーであるガブリエルが突然死去。その相続を巡って、疎遠だった家族がニースに集まり一緒に過ごして行くうちに、様々な過去や秘密が徐々に解きほぐされ、家族がそれぞれ、新しい道を歩きはじめる・・・・と、まあ、あらすじを書いちゃえば、なんだかアットホームなファミリードラマみたいだが、実は全然違います(笑)。
だいたい、死んだガブリエルじいちゃんが、じいちゃんだけど女装マニア。彼を父と仰ぐいにしえのマジシャン、ニッキーはフルタイムの浮気者でスケベおやじで、現在は「青いオウム」の歌姫に懸想中。そしてニッキーの元妻シモーヌと元々妻アリス。元々妻の息子は同性愛者で、元妻の娘はバリバリの編集者だけど、不妊の悩みを抱えている。元々妻も元妻も何だかひとに言えぬヒミツを隠してたりして、なにやら複雑な家族関係。したがってそれぞれがバラバラに暮らしていたワケなのだが、ガブリエルの死をきっかけに集まってからは、過去のイロイロが少しづつ解明されてゆき、観客はその謎解きのような時間の経過を「楽しんで」ゆくことになる。そう、舞台がキャバレーだけに、ストーリーの中に折り込まれてゆくレビューや唄などが画面上で存分に楽しめるのだ。カトリーヌ・ドヌーヴだって(驚愕!!)唄っちゃうし、娘役のジェラルディン・ベラスが唄う、フランス語の「ローズ(La Rose)」なんて鳥肌モノの絶品。
ネタバレになるので、結末はナイショだが、ラテン気質の脳天気さというか、家族がどんな境遇で、どんな趣味で、どんな生き方をしていようとも、それらを尊重し決して否定しないおおらかさというか、度量の大きさを感じさせる家族のキャラクターつくりには感心させられる。アメリカ映画ではありがちな薄っぺらな愛情やウソくさいなれ合いとは無縁の、オトナのためのファミリードラマ、なのである。
いやしかし、この映画におけるカトリーヌ・ドヌーヴの迫力といったら、それはものすごいものがあるですよ。あの可憐な、フランス人形のようだったドヌーヴが、セックスを武器にしてきたと言い張るパワフルなおばさんとして出てくるんだもの。さりげない演技の中でみせるしぐさや語り口調に、男を手玉にとって操る恐ろしさと、解っていながら手玉に取られてもイイって思わせる魅力が詰まっていてカッコいいです、マジで。
「輝ける女たち」は、今年のフランス映画祭のオープニング作品に選定された。そのフランス映画祭に、なんと!カトリーヌ・ドヌーヴが団長として日本に、10年ぶりにやってくるのだ。すなわち生カトリーヌ。
フランス映画祭2007の日程は3月15日(木)より18日(日)で東京・横浜、3月18日(日)から20日(火)までが大阪と、合計三ヶ所で開催される。詳しくは公式サイトを参照のこと。
甘酸っぱい思い出を抱えたオジサマやオバサマたち、あるいはこれからオトナになる若造も、この映画を観れば、笑ってちょっと泣いて、そしてきっと気持ち良く劇場を出てくる事が出来るんじゃないかと思うのだ。
原題は先にも書いたけど「Le HEROS DE LA FAMILLE」直訳すれば「家族のヒーロー」という感じか。日本語タイトルの「輝ける女たち」ってのは、ちょっと違和感を感じますが、それも観てのオタノシミってことかな。
輝ける女たち(DVD)
原作:Le HEROS DE LA FAMILLE(英題:Family Hero)
監督:ティエリー・クリフ
脚本:クリストファー・トンプソン、ティエリー・クリファ
出演:ジェラール・ランヴァン/カトリーヌ・ドヌーヴ/エマニュエル・ベアール
配給:ムービーアイ
ジャンル:洋画