X-MEN ファイナルディシジョン

個性というものは素晴らしいものだ。それぞれが異なる存在であり、異なる能力を持ち、異なる人生を送る。その異なるもの同士の縁の触れ合いが、世界という大きな織物を成している。
世界に一つだけの花』という歌があるが、まさにそれだ。他と違うことを憂うのではなく、他と違うことを誇りに思うこと。生まれ持ったその種にあわせて、いちばん大きく花ひらく方法を模索し、水や肥料を与え続けること。自分以外の花を愛で、敬うこと。これが理想的な個性と個性の調和の仕方だ。

だが最近は、個性を振りかざして自分のわがままを押し通そうとする輩も闊歩している。個性を免罪符か何かのように勘違いし、花の美しさをどこかに忘れ去った哀れな連中が少なからず存在する。花を咲かせるのではなく、斧を振りかざしているのだ。その凶器で他の花たちを滅多打ちにし、「これが自分の個性ですから」と、にっこり微笑む。だが、百花繚乱の花々が咲き乱れる花畑を滅茶苦茶に蹴散らしたあとの跡地は見るも無残で、見に来ようとする者など誰もいない。そこにはただただ孤独な世界のみが荒涼と広がるばかりだ。他の花たちも、自分がそのターゲットになることを恐れ、斧には近づこうとしない。

人様に見ていただいてこその花の美しさなのに、そこにはただ孤独だけが残る。人様に引き立てていただいてこその成功、自己実現であるのに、自分さえよければいいというその自己中な考えが自分自身を滅ぼしていく。すべてが消え去ったあとでしか、斧は自分の愚かさに気がつかないのだ。

X-MEN ファイナルディシジョン(Blu-ray)
監督:ブレット・ラトナー
出演:ヒュー・ジャックマン/ハル・ベリー/イアン・マッケラン
ジャンル:洋画
公式サイト:http://www.x-menfinal.jp/