マイアミ・バイス

20070109135401picm.jpgマイケル・マンといえば、骨太な“男”の生き様を描くことに長けている監督だ。アル・パチーノとラッセル・クロウ共演の『インサイダー』(99)、アル・パチーノとロバート・デ・ニーロ共演の『ヒート』(95)、トム・クルーズ主演の『コラテラル』(04)等々。多くは語らない男たちの闘志を、丹念なカメラワークで描き出している。

20070719145835pic1.jpg本作の舞台はマイアミ。アメリカ合衆国の最南端の楽園であると同時に、アメリカで最も中南米に近い都市であることから、国際犯罪組織の密輸に使われる危険地帯だ。極秘情報の漏えいから危険に晒された潜入捜査官たちを救うため、マイアミ警察の刑事コンビが捜査に挑む。まさしくマイケル・マン作品としてニヒルな男たちが描かれているのだが、こと本作に関しては、主演のコリン・ファレルの違った一面が垣間見れるのである。

麻薬捜査官といえば、外見では悪を演じながら内面は善のままでいるという、矛盾した行動を強いられる職業だ。しかも現場では失敗は許されない。“演技”をミスったが最後、本物の“悪”から命を奪われるのは確実だからだ。テイク2などありえない世界なのだ。
そんな緊迫した日々をおくる彼らだから、オフのときはやけにくつろいだ表情になる。特に愛する者とのひとときは特にそうだ。日頃の職務が職務だけに、その緊張から解き放たれたときには、ついつい甘えた表情を見せてしまうのである。表の顔とのギャップと相まって、その“可愛さ”は妙にグッときてしまうのだ。特に、主演のコリン・ファレル。ハリウッドのバッド・ボーイとして名を馳せている彼だが、上目づかいのその表情には意表をつかれてしまうのである。
骨太な作風で知られるマイケル・マンだが、俳優たちのそんな意外な一面を引き出すことにも成功している。

マイアミ・バイス(ブルーレイ&DVDセット)
監督:マイケル・マン
脚本:マイケル・マン
出演:コリン・ファレル/ジェイミー・フォックス/コン・リー
ジャンル:洋画

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