なかなか、自分自身のことは自分ではわからないものだ。当たり前だと思っていたことが、他の人からみたら奇妙なことだったりすることはよくある。大きな鏡がなければ全身が見えないように、外側から自分の姿を客観的に見ることは容易なことではない。それは個人だけではなく、もっと大きな枠組み—国についても言えることであろう。
カリフォルニアに住む日系3世のエミー・ワタナベは、19歳のハイスクール卒業生。留学を決意したエミーは期待を膨らませて日本の地を踏む。だがエミーが想像していた、「義理人情に厚く、礼節を重んじ、ワビとサビと大和魂の国、日本」の姿はそこにはなかった—-。
本作では、主役のエミーの目を通して現代の日本社会の問題が浮き彫りにされる。日本にどっぷりと浸かっている私たちではなく、海外の客観的な目を通して日本という国が綴られているのだ。公式な場で国家を歌うことを拒否する君が代問題、極端な個人主義、自分さえ良ければいいという無関心な態度、自活しない若者、親に暴言を吐く子どもたち、荒れた恋愛観、衰退する商店街等々…。今の日本が抱える問題点をすべて盛り込み、私たちに問いかけてくれる。
すべての問題に即座に答えをだすことはできないであろう。何が正しいかという線引きも、人それぞれに違うであろう。けれど、エミーを見ていると思えてくるのだ。私たちのこの血に確実に受け継がれている大和魂という精神は、この国の揺るぎのない支柱である、と。
戦後、マッカーサーによって作られた日本国憲法。もう二度と戦争をしないことは結構であるが、同時に、大切な何かを置き去りにしてはいなかったか。遥か天照大御神の時代から培われてきたこの大和魂を、ここで絶やす必要などないのである。いい加減、戦後の呪縛から解き放たれ、自信を持ってこの国の大地を踏みしめても、罰は当たらないだろう。
原作:森田健作
監督:月野木隆
脚本:河原雅彦
出演:森本クリスティーナ/森田健作/小野真弓
配給:アスミック・エース エンタテインメント
ジャンル:邦画
公式サイト:http://iam-nipponjin.com/
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