昨年は晴天の下で行なわれた演奏も、
今年は雨でお流れに。無念……
子は親の背中を見て育つという。
とはいえ、私ぐらい親の背中をいやというほど見てきた子どもはいないのではないか? 今年も親父の背中を見に行こう! そう意気込み熱くやってきたのは、かつて東京オリンピックの“グランプリ大賞典馬場馬術競技”を開催したことがあるという、世田谷区用賀にある馬事公苑だ。
目指すはそこで開催されている「ふるさと区民まつり」である。
父が世田谷区民吹奏楽団の理事長を務めており、ステージにて指揮をするからだった。
炭焼きの鮎にお腹が思わず鳴っていた
こちらウィーンから来ている大学生。
日本の祭りはどう映るのかな?
ところが、天気はどんどん下り坂。去年娘が来たときは日本晴れだったのに、今年は雨が降ったりやんだり。とうとう、楽しみにしていた野外の演奏はお流れになってしまった。楽器も楽譜も、屋根がないステージではびしょぬれだ。
せっかくの祭り最終日というのに、屋台もそろそろ店じまいをしてしまうところもある。
開催の二日間とも、朝11時から夜9時まで行なわれる祭りでは、「ふるさと」の名にちなみ、世田谷区と交流のある全国自治体がこれぞという物産品を持って参加している。北は福島県から南は沖縄県まで、テントの中で観光やツアーの名所案内もしてくれる。
炭火焼きの鮎に満足して、定番の焼きそばを食べてみる。尾花沢(山形)の西瓜に舌鼓を打っていたが、どんどん降り注ぐ雨により多くのお客さんは屋根がある博物館の建物へ。やっぱり雨は残念。
さと、祭りといえば威勢のよい太鼓。この日もお腹の底にズンズン響いてくるが、この太鼓も雨に弱いので、ビニールでしっかり覆われてしまった。太鼓と言えばの神輿は、ラッキーなことに担ぐ姿を見ることができた。うちわであおいで担ぎ手たちを労いながら、掛け声をかけている地元のお年寄りが印象的だった。
神輿のパレードはいつ見ても圧巻!
後ろのねぶたにはビニールが
しかし皆が興奮しながら神輿をひと目見ようと混雑も大変。毎年40万人は参加するとされる世田谷の大イベントだから、警備も半端な数ではない。
吹奏楽団の団員たちは、最後の最後まで音合わせをしたり、父と話しあったりしていたが、とうとう天候に逆らえなく1曲も演奏することなしに終わってしまった。
彼らの落胆した気持ちを考えると、なんてムゴイ!と空模様に怒りさえわいてくる。せっかく久々に「親父の背中」を見ようと期待してきたが、母と一緒にトボトボ雨を恨みながら帰宅することにした。
ああ、こういう日もあるのか……?
数年前は演奏の途中から雷雨に遭い、急遽お開きになったこともあるという。すべて野外で行なわれるだけに、天候に左右されるのが夏まつりの怖いところなのであった。