13万部を記録したベストセラー「はなちゃんのみそ汁」(文藝春秋刊)。余命わずかの母親が、まだ幼い娘に何を遺せるのか? みそ汁づくりを通して愛情と生きていく強さを伝えた姿は、日本中を感動で包みこみ、この度ついに映画化が決定。
監督は2013年キネマ旬報ベストテン日本映画第1位に輝いた『ペコロスの母に会いに行く』で脚本をつとめた阿久根知昭。主要キャストには広末涼子、滝藤賢一など日本を代表する俳優陣が決定している。
その製作発表記者会見が去る12月4日(木)に都内渋谷区の東郷記念館・オランジェールにて行なわれ、広末涼子、滝藤賢一、一青窈、安武信吾(原作者)、安武はな(原作者)、そして阿久根知昭(監督)が登壇した。
当日ははなちゃん手作りの温かいみそ汁も振る舞われた。
MC:まずはご挨拶をお願いします。
広末:(安武千恵役)脚本を読ませていただいて、たくさん笑い泣きしました。原作ともテレビドラマとも違った映画『はなちゃんのみそ汁』になる予感がします。はなちゃんはもちろん、空にいるはなちゃんのお母さんにも、笑い泣きしてもらえる素敵な作品になるように演じさせていただきます。
滝藤:(安武信吾役)広末さんとはなちゃん役(現在オーディション中)と、素敵な家族を作ります!!
一青:(千恵の姉・詩穂役/主題歌担当)2年前の24時間テレビではなちゃんと初めて会って、その時は大泣きして歌えなかったんです。今回は曲を作らせていただけるとのことなので、はなちゃんとお話をしてイメージを膨らませながら作りあげようと思います。(映画では)広末さんのお姉さん役ということで、緊張していますが、がんばります。
阿久根:(監督・脚本)すばらしいキャストの方々に恵まれ、僕自身も楽しみにしています。日ごろから安武さんとはお付き合いをさせていただいて、千恵さんの話を毎日しています。僕は千恵さんとはお会いしたことはないんですけど、どこかにいるって感じるくらい彼女のことを良く知っています。物語は千絵さんがずっとそばにいるような感じで書かせていただきました。これからの撮影も楽しみにしています。
安武信吾:(原作者)昨夜、監督さんたちと食事をさせていただいた時に、千恵が大好きだった一青窈さんの「ハナミズキ」が店内に流れ、鳥肌が立ちました。今日、この場所にいることが不思議に思えます。すべて天国の千恵が導いてくれているのかなって。原作者としてこの映画に携らせていただきながら楽しみたいと思っています。
安武はな:(原作者)作品を観てくれた人たちが、台所に立ってみそ汁を作ってもらえたら嬉しいです。
MC:はなちゃん、今日のみそ汁のレシピを教えてください。
はな:鰹節と昆布で出汁をとって、油揚げと葉と豆腐で作りました。
MC:はなちゃんがお味噌も作っているんですよね。
はな:はい。(みんなに飲んでいただけると思うと)緊張します。
(登壇者の方々にみそ汁が配布され試食会に……)
MC:みなさん、お味はいかがですか?
広末:美味しいです。ほっとします。
滝藤:すごいね〜。何歳くらいから作れるように……。
はな:5歳からです。
MC:広末さん、この作品に出演されることを決められた理由は?
広末:はなちゃんの小さいころをドキュメンタリー番組で見ていたので、ふたつ返事で引き受けさせていただきました。出来上がった脚本が素晴らしく、声を出して笑っちゃうくらいなのに涙が止まらなくて……。飛行機の中で読ませていただいたのですが、到着した先で保冷剤を買いました。メイクさんに怒られると思ったので、仕事に行く前に目を冷やしました(笑)。命を懸けて演じたいと思える作品です。
MC:滝藤さん、広末さんとはどんな夫婦像を描きたいですか?
滝藤:苦しかったことや楽しかったこと、その安武さんの人生を生きたいと強く思いました。安武さんと時間をかけて関係を深めて、その安武さんの家族に負けないような家族を作りあげたいと思います。
MC:一青さん、千恵さんが「ハナミズキ」が大好きだったということですが、今回は主題歌を作られるとうかがいましたが、いかがですか?
一青:私は母をきちんと看病できなかった経験があるので、映画の中ではありますけど、千恵をめいっぱい愛して看病したいなと思います。はなちゃんの目線になっ
たり千恵さんの目線になったり、いろんな目線からどんな曲にしようか考えています。イメージトレーニングしています。
MC:監督として、映像ではどんなところを伝えていきたいですか?
阿久根:闘病記という物語ではなく、夫婦や親子の話、そして夫婦が成長していく物語にしたいと思います。僕の描く安武信吾は、かなり"ちゃらんぽらん"です(笑)。安武信吾を"馬鹿"にしてよろしいですか?とうかがいましたら、"馬鹿"でお願いしますと、承諾いただきました。でも、彼は一所懸命なんです。そして、奥さんや娘のことを考え、夫になり父親になっていきます。でも、それを導いたのは、千恵さんやはなちゃん。そんな映画になればといいなと思っています。物語も特別なものではなく、誰もが経験する、小さなことでも喜べる毎日があり、一緒に食事をして、泣いたり笑ったりする。そして、誰かがいなくなったからといって消えるわけではない……そんな作品になればと。
MC:安武さん、今回は映画ですが、安武家をどんな風に観ていただきたいですか?
安武:"ちゃらんぽらん"にですね(笑)。千恵と出会って、ふたりとも少しずつ成長したんじゃないかなと思っています。お互いにいなくてはならない存在だったと。広末さんと滝藤さんが演じていただける安武家は、きっと笑いの絶えない家族であり、悲しいだけの物語にはならないと思います。映画を観てくださった人たちが、少しでも「あんな家族イイネ! 家族の時間を大切にしたいね」って感じていただければ、彼女が生きた証を残すことができると思います。
MC:はなちゃん、今度は映画になりますけど、今日、初めて広末さんとお会いしていかがですか?
はな:お母さんは広末さんみたいに、そんなに美人じゃない……(会場笑)。でも、笑顔がとても似てるなって思いました。
広末:(会見前に)はなちゃんにお母さんのいちばん好きなところを聞いたんですけど、意外な答えがかえってきました。演じる時の参考にさせてもらおうと思ってます。(はなちゃん)お母さんの好きなところはどこですか?
はな:ちょっと厳しいところです。
MC:広末さん、はなちゃんと初めて会っていかがですか?
広末:勝手に抱きしめたくなっちゃいました(笑)。素朴でまっすぐな感じのはなちゃんを見て、お味噌汁と共通のほっとする温かさを感じました。
そして、フォトセッションとスペシャルサポーター住友生命から登壇者へ花束贈呈が行なわれ……
MC:最後に、広末さんからひとことお願いします。
広末:ぜったいに良い映画になると思います。泣かせる映画でもなく、考えさせる難しい映画でもなく、笑い泣きしちゃう温かい映画をみんなでがんばって作っていきたいと思います。みなさん、楽しみにしていてください。
その後、はなちゃんの手作りの温かいみそ汁が報道陣に振る舞われた。
■ストーリー
25歳のとき乳がんを患った安武千恵さんは、結婚・出産し奇跡的に授かった娘はなちゃん。はなちゃんのためにも元気に生きたいと願いましたが、がんが再発してしまいました。生きることを諦めず、ただ自分がいなくなった後、娘が困らないように「自分で生きる力を遺したい」と、4歳になった娘にみそ汁作りを教えました。その5ヶ月後、千恵さんはこの世から去りました。はなちゃんは、母との約束を守り、保育園に行く前にみそ汁を作り「ありがとう」と喜ぶパパの笑顔で一日が始まります。この映画は、がんという病気にスポットをあてるのではなく、病を抱えた家族が自分の生き方、家族の在り方を見つめなおしながら成長していく姿を前向きに明るく描き出します。
原作:安武信吾・千恵・はな「はなちゃんのみそ汁」(文藝春秋刊)
監督・脚本:阿久根知昭
配給:東京テアトル株式会社
公開:2015年秋 全国公開
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