ダイバージェント


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たった一度の性格診断で人生が決まってしまう近未来。どの分類にも属さないダイバージェント(異端者)は、人類を滅ぼす存在として恐れられた……。全米ベストセラーのヤングアダルト小説を原作に、壮大な世界観で実写化されたSFアクション大作。全米映画ランキングでもメガヒットを記録して話題騒然の本作は、アクションをベースに人間ドラマもラブストーリーも絶妙に織り込み、完成度の高い力作に仕上がっている。

最終戦争から100年後の近未来。過去の過ちを繰り返さないよう、人類は新たな社会体制を作り上げていた。高度な技術により人間を5つの性格「勇敢・高潔・平和・無欲・博学」に分け、共同体を形成して住み分けを行い、秩序を保つというもの。だが、「無欲」の家庭に生まれ育ったベアトリス(シャイリーン・ウッドリー)は、性格診断の検査でどの分類にも属さない「異端者(ダイバージェント)」と診断されてしまう……。


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クライマックスまでがとにかくひたすら長い。上映時間は140分なのだが、人間の集中力には限界があるのだから、中盤までの訓練シーンをもう少し絞って100分以内に収めた方がより楽しめたのではないか。だが、そこまで丹念に描いてくれたからなのかどうか、主人公のシャイリーン・ウッドリーが初盤と終盤とでまるで別人のように変わっていることに感嘆してしまう。初めは少し肉がダボついたダサめでトロいボッチャリ系女子だったのに、クライマックスを迎える頃にはシュッとしてスリムで機敏で運動神経抜群で勇敢な戦士に変貌を遂げている。役者として完璧に仕事をこなしているシャイリーン・ウッドリー。これはスゴイの一言に尽きる。

スゴイ、といえば彼女の場合は演技も、いや、演技こそがスゴイのだ。実は、超美形とまでは言い難いウッドリー。もちろん、角度によってはベッピンさんなのだが、全方位を網羅しているとは言えない(私に言われたかないか)。『アメイジング・スパイダーマン2』ではMJ役に起用されて何シーンかの撮影も済んでいたにも関わらず、すべてのシーンがカットされ、MJが登場しない脚本にまで書き換えられて降板という悲劇にも見舞われた彼女。表向きは「よりよいストーリーのため」だそうだが、最初からそういう脚本で撮らなかったのだから何か「裏事情」が勃発したのだろう。3作目にはMJが無事登場するらしいが、それまでにシャイリーンの映画界での活躍が芳しくなければ、MJ役に別の女優を起用すると製作側が言ったという報道もある。その前のMJ役はキルスティン・ダンストで、こちらも特に美人というわけではなかったのだから、MJ役がシャイリーンでも外見は問題なかろう。事実シャイリーンは本作で、私が今年いちばん泣いたくらいの演技を見せてくれたのだし、新作『The Spectacular Now(原題)』でも批評家から絶賛されているとのこと。もしMJ役に無事に戻れなくとも、それはシャイリーンの実力不足などでは決してなく、まったく別の理由なのだ。……おっと。シャイリーンが素晴らしい女優だったのでつい役以外の部分にまで興味が向いてしまった。

閑話休題。本作で初の悪役を演じるケイト・ウィンスレットだが、クライマックスで発するその台詞は空恐ろしいことこの上ない。また、シャイリーンの友人役のゾーイ・クラヴィッツは、ミュージシャンであるレニー・クラヴィッツの娘。

本作の世界観は『ハンガー・ゲーム 』シリーズを彷彿とさせ、音楽の使い方は『トワイライト 』シリーズの手法だ。つまり、ヤングアダルト小説を原作とした映画ヒットさせる要素をふんだんに盛り込んでいる。事実、本国アメリカでの興行成績も上々だ。シャイリーンの相手役、テオ・ジェームズも憂いを含んだイケメンだから、多くの女子ファンのハートをグッと掴むことだろう。日本でのヒットにも期待がかかるところだ。

また、オフィシャルサイトでは、原作本の第6章までの無料試し読みを実施中だ。ぜひ、原作とあわせて楽しみたい。


原作:ベロニカ・ロス『ダイバージェント 異端者』
監督:ニール・バーガー
脚本:エバン・ドーハティ、バネッサ・テイラー
出演:シャイリーン・ウッドリー、テオ・ジェームズ、アシュレイ・ジャッド、レイ・スティーブンソン、ゾーイ・クラヴィッツ、マイルス・テラー、トニー・ゴールドウィン、マギー・Q、ケイト・ウィンスレット
配給:KADOKAWA
公開:7月11日(金)、TOHOシネマズ有楽座他全国ロードショー
公式サイト:divergent.jp

 

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