第103回 洋楽編 JAKE E. LEE’S RED DRAGON CARTEL――期待以上の復活劇。さあ後は7月を待つだけだ【ジェイク祭り開催中】

連載100回記念として継続中のジェイク・E・リー祭りも、今回でひとまず終了です。実はジェイクのことだけであと100回ぐらいは書けちゃうんだけど……まあ、我慢しておこう。さて、ジェイク祭り最終回は、長年の沈黙を破り、昨年ジェイクが新たに結成したJAKE E. LEE’S RED DRAGON CARTEL  をご紹介!


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右から二番目が現在のジェイク。おでこを出さないほうがいいと思う……

96年のソロアルバム  発表以降、ジェイクは表舞台から姿を消し、その間はアル中だのヤク中だのといった噂が流れていたのは以前書いた通り。俺は、もうジェイクの復活はないのか……と半ば諦めかけていたんだけど、ここ数年は少しずつ復活の兆し  が見えはじめ、なんとオジー・オズボーンがジェイクにバンドへの復帰を要請したとの噂まで流れた。この噂の真偽のほどはわからないし、実現もしなかったけど、オジーは長らくやっていなかったジェイク時代の楽曲をライヴで復活させている。

ジェイクは最近のインタビューで、隠遁生活の理由を「ジェイク・E・リーでいる事は、もうクールじゃなかったんだ」なんて言っていたけど、そのジェイクの言葉を借りるなら、ジェイク・E・リーはクールだと思う人がまた増えて来たんじゃないか。事実、11年に旧友ロニー・マンキューソのBEGGARS & THIEVESのPV撮影に参加(当て振り)すると、ジェイクが戻って来た! と大きな反響を呼ぶ。ジェイク自身もYouTubeに寄せられたコメントや反響の大きさに、まだ自分に興味がある人がいるとは思っていなかったと、驚いたという。……ここにずっといたっての。そして、アルバムを作らないかとロニーに提案されたジェイクは、ついに重い腰を上げ、レコーディングを始める。ロニーえらい!


『Feeder』
この曲が最初に解禁されました。ヴォーカルはなんとCHEAP TRICKのロビン・ザンダー!
ジェイクとロビンのコラボをもっと聴きたいと思ったのは俺だけじゃないはず……

当初はジェイクのソロアルバムとして制作を始めていたらしく、アルバムには複数のシンガーが参加しているんだけど、結局二人はバンド結成のためにオーディションを行なう。そして、元HAREM SCAREM  のドラマー、ダレン・スミスがシンガーとして加入。……なんでドラマー? ダレンは以前からシンガーとしても活動していたみたいけど、「大丈夫か?」と思ったのは俺だけじゃないだろう。しかも、ベーシストとして参加しているロニーはもともとギタリストだし、ドラマーのヨナス・フェアリーも当初はシンガーとしてオーディションに応募してきたという。そんなわけで、音を聴くまでは正直言って不安だった。

ところが昨年12月に発売されたアルバム  は期待以上の出来だった! ちょっとノイジーでガチャガチャとしたサウンドは俺の好みじゃなかったけど、楽曲は変にレイドバックせず、勢いのあるキャッチーなハードロックばかりで胸が躍る。『Bark At The Moon  』っぽい曲や、BLACK SABBATHっぽい曲があったり、オジー時代を彷彿させるけど、これは「Jake Is Back!」をアピールするにはいいやり方だと思う。やっぱり、ファンの大半はオジー時代のジェイクを求めてるだろうし。ただ、アルバム全体としては、デジタルな打ち込みも入ってるし、ブルータルでモダンな印象もあるから、賛否両論あるだろうね。ジェイク自身の音楽性は、実はファンが望んでいるものとは違うと覚悟しておくべきかも。BADLANDSのころからオルタナティヴ系やインダストリアル系が好きだと公言していたし……なんて、冷静に書いてるけどさ、初めて聴いた時は嬉しくて嬉しくて、一人でニヤニヤしちゃったよ! やっとジェイクが戻って来たんだもの。オリジナルアルバムの発表はなんと17年振りだよ。よくぞ戻ってきてくれました。


『Deceived』
あえてオジーのBark At The Moon風に作ったらしい。
なるほどブリッジのヴォーカルはオジーっぽい(苦笑)

アルバム発表に合わせてデビューライヴも行われたんだけど、さすがこの時代、ライヴ翌日にはもう動画がアップされていました。でも、そのライヴ動画はお世辞にも良いとは言えない出来でがっくり……。もちろん、生で観るのとは受ける印象も違うだろうけど、あきらかにお酒が入ってるジェイクはプレイがかなり粗い。以前は完璧といっていいほど正確なプレイをする人だったのになあ。他のメンバーにしてもロニーとヨナスにはまったく存在感がないし、ダレンはキーが合ってないわ、お腹はでっぷりしてるわ、でねえ。これは速攻で解散もあり得るぞ、と不安になった。初回だったし、これからどんどん良くなっていくだろうと期待してるけど……。実際、それ以降のライヴ動画ではダレンも別人のように歌えてるし、バンドのパフォーマンスも良くなっていたから、あんなのは初回だけだと信じたい。

7月には日本にもやって来る。ジェイクのライヴを観るのは25年振り……もう吐きそう(笑)。苦言も呈したけど、本当はジェイクが元気に音楽をやっていてくれたらそれでいいんだ。でも、戻ってきたとなると欲も出ちゃうね。とりあえずはこのバンドを長く続けてほしいし、さらに完成度の高い、ジェイクらしい音楽を聴かせてほしい。ジェイクの実力はまだまだこんなものじゃないもの。期待しててもいいよね、ジェイク!


『Shout It Out』
相変わらずリフ作りが上手いジェイク。でもね、誰かおでこを隠せとジェイクに言ってあげてください

※ikkieがなんと「出張ギター教室」を始めてしまいました!
とにかくここから アクセス! 動画もあるよん。
http://dokodemoguitar.com/