これぞ待ち望んでいた映画だ! 目くるめく華麗な映像、壮大なスケール、思わず息を飲むスリル、手に汗握るアクション、先の読めないどんでん返しだらけのストーリー、映画オリジナルで緻密な脚本、伏線の丁寧な回収、ちょいワルだけど勧善懲悪の主人公たち、脇役までも豪華なキャスト。映画の魅力を惜しげもなくすべてぶち込んだ本作は、監督の母国フランスでは公開1位、全米オープニング興行でも堂々の2位で興行収入約110億円を超えたヒットとなったほか、海外各国でも軒並み大ヒットを飛ばし続けている、究極のエンタメ大作なのだ。
スゴ腕のマジシャン、アトラス(ジェシー・アイゼンバーグ)をリーダーとする4人組スーパー・イリュージョニスト・チーム“フォー・ホースメン”。彼らが仕掛けたマジックは、ラスベガスのショーステージにいながらパリの銀行から大金を奪うという奇想天外なものだった。彼らのショーはただのマジックでは済まされず、現実のパリの銀行から実際に大量の札束が消失。FBIとインターポールまでもが動き出し、彼らの次の「犯罪」を阻止しようとするが…。
まず驚くのが、「ジェシー・アイゼンバーグって、こんなにイイ男だったっけ?」というところ。『ゾンビランド 』、『ソーシャル・ネットワーク』、『ピザボーイ 史上最凶のご注文』等で、くしゃくしゃカール頭でオタクっぽくてイケてない青年キャラが板についていて、女子たちの母性本能をくすぐりまくりだったジェシー。なのになのになのに、本作ではどうだ。ヘアスタイルは風になびくような美少年風、作品内でもハッキリと「イケメン」と紹介されているではないか。自分のマジックの腕をひけらかしてドヤ顔するあたりなんか、もうハートを射抜かれっぱなしで心臓が何個あっても足りない。だが、彼特有の早口芸は健在だし、ラストあたりなんかは一瞬だけちょいと運動神経鈍そうなところも拝めるので、オタク+イケメンのハイブリッドなジェシーが堪能できることこの上なし。ちなみに私の脳内もこのジェシーに占拠されまくりのため、ネット上でイケメンジェシー画像を漁るという新たなタスクが日常に追加され、やらなければいけないあらゆる作業が止まりっぱなし。困ったもんだ。
他のキャストも堂々たるもので、『ゾンビランド』でジェシーと息の合ったコンビっぷりを発揮したウディ・ハレルソンがメンタリストとして今回再び共演。『華麗なるギャツビー 』のアイラ・フィッシャーは、ちょっと太めだけどそれが良い味になり、男っぽい気さくさで脱出技を軽々と演じる。ジェームズ・フランコに顔がそっくりな弟のデイヴ・フランコは、スリの名手で、ハードなアクションも難なくこなしている。『アベンジャーズ』でハルク役のマーク・ラファロはFBIとして「犯罪者」たちを追跡。『イングロリアス・バスターズ 』のメラニー・ロランは、美しい顔立ちのくせに真実をとことん追求するインターポールの捜査官。そしてなんと、イリュージョニスト・チームのスポンサー役にマイケル・ケイン、トリックの暴露を生業としているモーガン・フリーマンという往年のスターのツーショットまであるという、一流ホテルでビュッフェ食べ放題のような大満足の布陣である。
普段から私は、口を酸っぱくして「映画とはもうひとつ別の世界を作り上げること。だから映画にリアルさは必須」云々と自説を垂れていた。だが本作には、「それトリックじゃなくてCGじゃね?」というシーンが山ほどある。後日DVDやブルーレイが出た暁には、トリックシーンをストップやらコマ送りやらスロー再生にして諸々検証したいくらいだ(意外とメイキングはCG解説付きだったりして)。にも関わらず、そんな自説はどうでも良くなって、とにかく手放しで応援したくなる作品。そんなとてつもない“マジック”を本作は持っているのだ。
興行的にも相当好調な滑り出しを受け、早くも同監督で続編製作が決まった「大当たり」の本作。彼らのショーを特等席から見ているような錯覚に陥れるよう、ぜひとも大きなスクリーンの劇場でご覧いただきたい。
監督:ルイ・レテリエ
脚本:エド・ソロモン/ボアズ・イェーキン/エドワード・リコート
原案:ボアズ・イェーキン/エドワード・リコート
出演:ジェシー・アイゼンバーグ/マーク・ラファロ/ウディ・ハレルソン/メラニー・ロラン/アイラ・フィッシャー/デイヴ・フランコ/マイケル・ケイン/モーガン・フリーマン
配給:角川映画
公開:10月25日、新宿ピカデリー他全国ロードショー
公式サイト:grandillusion.jp
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