モントリオール世界映画祭正式出品作品。亡くなった母の「幸せに生きるためのレシピ」を通じて、残された家族が心の傷を抱えながらも自身の人生について考え、再生に向かっていく姿を温かく描く感動作品。娘の百合子を演じるのは、2011年日本アカデミー賞最優秀助演女優賞など映画各賞を総ナメにした『八日目の蝉』以降初の映画主演となる永作博美。その他キャストに石橋蓮司、岡田将生、二階堂ふみ、原田泰造など旬で豪華なキャストが集結。伊吹有喜のロングセラー小説を、気鋭監督タナダユキが映画化。死と真っ直ぐに向き合うことで、生きることの素晴らしさを際立たせる。母が遺したレシピに導かれ、母の人生を旅する、49日間の感動の物語。
熱田家の母・乙美が突然死んだ。娘の百合子は父・良平が心配だからと実家に戻ってくるが、本当は自らの夫との間に問題を抱え、憔悴しきっての帰郷だった。そんな折、百合子と良平の元に派手な服装の不思議女子イモと、日系ブラジル人の青年ハルが現れる。生前の乙美に頼まれ、残された家族の面倒を見にきたのだと言うイモは、乙美がとある「レシピ」を書き残していること、そして四十九日には法要ではなく大宴会をするのが乙美の希望だったということを2人に伝える。
こうして、"四十九日の大宴会"を迎えるまでの、おかしな4人での共同生活が始まるが――。
言葉にできないほどの悲しみを抱えたとき、「大丈夫?」などと声をかけられても大丈夫なワケがない。逆に、まったく別の角度から思いもよらない行動に出てこられたらどうだろう? 悲しみは一旦保留され、新たな何かが見えてくるのではないだろうか。
乙美が残した「レシピカード」に導かれながら、百合子と良平の気持ちが穏やかに変化し、生活が立ち直っていく姿には、亡き妻であり亡き母の愛情を感じずにはいられない。また、不思議女子イモを演じる二階堂ふみのキョーレツなキャラがスパイスとなり、グイグイと新しい展開へと導いてくれる。もちろん、話のキモとなる「レシピ」で作った料理たちも必見。「美味しそう〜」なのは当たり前だが、食べ物とは"一瞬にして記憶を蘇らせる魔法のアイテム"だということがわかる。
そしてもうひとつ、百合子を通して「幸せのカタチ」にもいろいろあることが伝えられる。固定概念からか、「結婚したら子どもは作るべきだ」との思考が一部の方にはあるようだが、そんなことは一概には言えない。
夫婦2人であろうとも、家族ではなくとも、人と人との繋がりや相手を思いやり、押し付けるのではなく、与える気持ち――。どんなカタチでも、今見ている現実が(理想かはともかく)真実である。そう、他人の言葉に惑わされてはいけないのだ。
母が遺した人生の処方箋(レシピ)。ぜひ劇場で体感してもらいたい。
監督:タナダユキ
脚本:黒沢久子
原作:伊吹有喜
出演:永作博美/石橋蓮司/岡田将生/二階堂ふみ/原田泰造/淡路恵子
配給:ギャガ
公開:11月9日(土)より、新宿バルト9、有楽町スバル座ほか全国ロードショー
公式サイト:http://49.gaga.ne.jp/
© 2013映画「四十九日のレシピ」製作委員会