弟よ、君のおかげで、僕は今まで生きてこられたんだ。弟よ、君がいたから、僕は毎日が楽しかったんだ。弟よ、君だけが、僕の事を理解してくれていると思ってたんだ。弟よ、君といる事が、僕の幸せだったんだ。弟よ……君は、誰なんだい?
両親を交通事故で亡くしてから、ずっと引きこもっている男・柴田岳は、弟の陸とふたり暮らし。そこへドキュメンタリーを撮影しようとしているプロデューサーと交通事故加害者の息子を名乗る男が現れ、岳の心は乱れていく。また、母親が事故当時に妊娠をしていて即死ではなく緊急手術をしていた事実を知ることに。もしかしたら……、すると妹を名乗る女が突然現れた。岳のことを調べていたプロデューサーが彼はひとりっこだった事実をつかむ。ずっと一緒に暮らしていた弟は誰なのか? 急に現れた妹は……。
8月21日(水)〜25日(日)、5日間に渡って行なわれるハナウタカプセル第9回公演『浮き木の亀』。稽古場のある都内板橋区常盤台を訪ね、メンバーの駒形亘昭さんと岩永大生さん、作・演出を手がけた守富龍人さんに本作の見どころについて聞いた。
作・演出:守富龍人
今回は推理小説のようなストーリーが二転三転していく飽きさせない芝居になっています。気がついたらサスペンスにミステリーに、といった感じですね。ひとりの男の解体と再生の物語ですが、テーマは人と記憶。主人公・岳の記憶がどんどん不確かなものになっていくなか、さまざまな人との関わりによって、その記憶を取り戻し、自己の再生をはかっていきますが……。実はこの物語は最後にあっと驚く展開になりすべてがひとつに繋がっていくのですが、その部分はお話しできないので、みなさんにはぜひ、劇場に足をはこんでいただきたいですね。
柴田岳(兄)役 駒形亘昭
(専門学校『尚美』声優学科を卒業後、『劇団 昴』の養成所を経て『劇団 俳小』に)
両親を小さいころ交通事故で失った後、祖父に育てられていましたが、祖父も3年前に病気で亡くして……。両親を亡くしたショックでずっと引きこもっていた岳ですが、弟や近所の人に支えられながら外に出ようと努力しているんです。まだ、最後まで稽古は進んでいないんですけど、芝居の中でラストに向かっての伏線は各所に散りばめられていて、“あれ? なにかおかしいな?”といった感じで、最後には“なるほど!!”という展開になっています。演技についてですが、僕と岳という役は、人格的に似ているところがあって(笑)、僕もインドア系なので……。岳を演じることに対しては、すんなりと入っていけました。そのことで演技が軽くなってしまう恐れがあるので、それは稽古の中でしっかり調整し完成させていきたいですね。また、両親がまだ生きていた幸せだったころと今の状態の岳の心の演じわけ、同じ人物のギャップをいかにするかも課題です。観にきていただいた方の心にひとつ“ポン!”とカプセルを入れられればいいかなと思っています。
柴田陸(弟)役 岩永大生
(福岡は博多から芝居をするために上京して4年目、現在はフリーで活躍中)
岳がいやだと思っていることすべてを請け負っている弟。外とのコミュニケーションを代わって行ないながら、兄の引きこもりを直すため日々努力をしている。弟の陸は人とのふれあいに抵抗なく社会生活になじんでいる普通の人間だと思っていますので、そのことに関しては抵抗なく演じられますが、兄弟間では、ある条件によってリズム的に気持ち悪い演技をしなくてはいけないのでその部分が難しいですね。その演技の違和感を体験してもらいたいです。最後に“なるほど!!”そういうことだったのかと……。やりずらい芝居でフラストレーションがたまりますが、そのギリギリの演技が、逆にやりがいがあります。他のメンバーも同じなんじゃないかな。
作・演出:守富龍人
出演:
板倉美智子
高塩誠
伊藤了太(M.M.P)
岩永大生
内山ちひろ(インパラプレパラート)
ウォーレン・リウ
小名木美里
駒形亘昭(劇団 俳小)
菅原夕
竹田大将(劇男)
室谷康博
●会場:劇場HOPE 〒164-0001東京都中野区中野3-22-8
劇場HOPEロビー:TEL 03-3383-2590(公演期間中のみ)
ポケットスクエア:TEL 03-3381-8422
JR中央・総武線/東京メトロ東西線 中野南口より徒歩5分。
※駐車設備はありません。車、バイクでのご来場はご遠慮下さい。
●日時:2013年8月21日(水)〜8月25日(日)
●料金:チケット:全席自由
前売3000円/当日3500円/学割1500円/ペア5000円
予約・問合わせ:T
EL 090-2161-5344(板倉)