【No Train,No Life】身近に「貨物」がやってきた日

「ねえ、この"桃太郎"ってどんな電車よ?」
先日のこと、JR大宮駅にて停車していたのが桃太郎。我らがアラカン編集長がそれに気が付いての質問だが、さて、みなさんはごぞんじだろうか、桃太郎を。
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電気機関車「桃太郎」。
正確には省電力の実現も加わって「ECO-POWER桃太郎」
桃太郎は電気をエネルギーとした機関車で……"機関車"というのは、モーターやエンジンなど動力のない貨車を引っ張る車両のことで、電気ではなく石炭をくべて蒸気でシリンダーを動かすのがおなじみ蒸気機関車、いわゆる"SL"。桃太郎は電気を使うので電気機関車、これは"EL"となる。
まあそれはともかくとして、桃太郎とはJR貨物が各地に配置している、貨物の貨車を引っ張る電気機関車の愛称。JR貨物の電気機関車には桃太郎以外にも"金太郎"、"ブルーサンダー"という愛称を持つ車両があり、その違いや作られた背景なども興味深いのだが、それはまた別の機会に。

と、このように書いてはみたものの、アラカン編集長だけでなく私も日ごろあまり触れることがないのが貨物列車の世界。以前『憎いウンチクshow』にて取り上げたように、普段目にする路線図にも貨物駅は記されていない。そんな謎だらけの場所で、しかもウンチクで紹介した等の「横浜本牧駅」にて初の試みとなる駅構内の開放イベントが行なわれるという。去る5月26日のこと、いそいそと現場へ向かってみた。ちなみに。私はこういった電車のイベントに参加するのは生まれて初めてである。いやホントに(笑)。
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「神奈川臨海鉄道」はJR貨物のグループ会社。
京浜工業地帯に荷物を運んで50年の歴史を持つ
『神奈川臨海鉄道創立50周年記念イベント』と銘打たれて開催されたこのイベント。JR貨物のグループ会社である神奈川臨海鉄道には8駅(川崎地区に3路線、横浜地区に本牧線がある)あるが、ほとんどが工場地帯の真ん中であることからか、本牧エリアから徒歩15分ともっとも町中にある横浜本牧駅が会場となった。JR根岸駅も本線線の駅なので、こちらは電車を降りたらすぐ会場になりえるが、一般駅(旅客と貨物の両方を扱う)なのでそんなわけにもいかない。というわけで根岸駅からは横浜本牧駅へのシャトルバスがピストン運行されていた。

私は本牧エリアから徒歩で会場に向かったが、入り口と反対側からのアプローチだったので、晴天の下、すでに見えている駅構内を眺めながらしばらく歩く。そこからすでに構内の線路上に展示されている電気機関車に貨車、そして最後尾にはこのイベントの目玉である蒸気機関車"C56-139"を見ることができるため、まだ会場外となる歩道でもバンバン写真撮影が行なわれていた。その横の車道には常に満杯の根岸駅からのシャトルバスがひっきりなしに到着、老若男女、家族連れにカップルにひとり客(私だけじゃないぞ)にと、バラエティに富んだ顔ぶれが入り口に吸い込まれていった。

駅構内を最大限に使った会場では、線路上に先ほどの機関車たちが並んでいるだけでなく、貨物輸送に使われるコンテナを積み卸しするフォークリフトの展示や実演、さらに地元警察などの協力によりパトカーや高速道路の規制車なども展示され、運転席で記念撮影などもできるようになっておる。「横浜臨海鉄道の歴史」コーナーでは、写真の展示ブースにコンテナを使うなど、そこかしこに貨物駅のイベントであることが感じられる。
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全国の貨物路線、そして時刻表を網羅!
一家に一冊!! いやいや(笑)
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売っていました、信号灯
販売ブースでは神奈川臨海鉄道やJR貨物、JR東日本だけでなく、京急、相鉄などの沿線の私鉄なども出店してのグッズ販売をしている。思わず神奈川臨海鉄道のキーホルダーを買ってしまったりしたが、驚いたのは「貨物時刻表」というのがあったところ。思わず「これは需要があるんですか?」と聞いてしまったら、「ありますあります、貨物ファンなら一家に一冊です」とのこと。また機会があれば考えます(笑)。
また販売には"駅弁の部"もあり、崎陽軒や常磐軒(品川)など横浜近郊で駅弁を扱っている会社が駅弁を販売し、昼時には休憩エリアで多くのお客さんが食べておりました。

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力強いぜ、蒸気機関車。拍手も挙がっておりました。
"鉄"でなくてもテンション上がる物件ですね
展示されている機関車は記念撮影用だけでなく実演走行も。場内に「まもなく動きますよ」とのアナウンスが掛かると、ただでさえ人だかりのところに会場中のお客さんが線路際に終結。動き出しは電気機関車による牽引だったが、逆走時は蒸気機関車による牽引になるので、煙を噴き上げながらのSLの走行では、撮影だけでなく歓声が波のように広がっていく。
おおお、カッコいい。
SLが走っているのなんて初めて生で見たワタクシも、つい声が漏れた次第で(笑)。

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やはりこういう一枚がほしいもの。
新幹線Tシャツな佐々木家の坊ちゃん、
正しい"鉄"の道を邁進しております
(写真提供・佐々木香有里)
しかしまあ、こういうイベントならばやはりSLと一緒に記念撮影したりしたいねえ……というところで、会場に訪れていた『勝手に読書録』でも鉄道本を紹介いただいている佐々木香有里さん親子から記念の一枚を拝借(以前にも出ていただきましたが、坊ちゃんすっかり大きくなっております)。やっぱりこういう記念に残る一枚
がほしいものですね。

そんなこんなで終了したイベント。初の試みにもかかわらず2万5000人ものお客さんを集めたとか。「50周年記念」ということは、次は100年後?なんて声も挙がる中、貴重な貨物、そして貨物駅のイベント、どうかたびたび実施していただきたいものだ。そのときは買いますから、「貨物時刻表」を(笑)。