前回の予告通り、4月14日に横浜から焼津へ"わざわざ"東海道本線だけで行ってみた。今回はその実行編である。
沼津駅で乗り替えた島田駅行きの東海道線『4月14日、焼津港周辺で行なわれる「焼津みなとマラソン」に出走すべく、朝の9時40分までに横浜から東海道本線だけで焼津駅に到着する』
この条件で時刻表を調べてみると、
6時36分横浜発・熱海行き(7時59分着)→熱海にて8時5分発・静岡行きに乗り替え(9時20分着)→静岡にて9時22分発に乗り替えて9時34分焼津着
これがいちばん横浜から無駄のないルートになる。朝もできるだけ寝ていられるし、焼津での待ち時間も少ない。
とはいえ、ただ東海道本線に揺られているだけでも(私は。あくまでも私は)充分なのだが、せっかくだから“旅気分”にしたい。で、旅気分に浸るのならば「駅弁」ではなかろうかと、「待ち合わせまでに駅弁を食べる」という項目を追加した。
そうなると、最初に調べた無駄なしルートではその余裕はない。たとえば熱海には釜飯系など豊富に駅弁があり、乗り替え6分の間に仕込むことはできるかもしれないが、「8時でまだ店がやっていない」なんて可能性もあり、また現在の東海道本線にボックス座席はなく、横並び座席で駅弁を喰らうのはやはりためらう。そして焼津に着いてから6分で食べるのもせわしない……。いわゆる普通列車のグリーン車に座れば堂々と食べられそうだが、東海道本線で熱海より西には元より用意されていない。グリーン車の料金がもったいないって理由じゃないんだよ(笑)。
そんなわけで、
『横浜6時36分発よりもできるだけ早い電車に乗り、その貯金した時間を使って駅弁購入、そして食事する』
これをテーマにした次第である。
東海道線ルートは横浜5時48分スタート。
間もなく発車する電車に飛び乗る朝4時45分ごろに起床、サッサと身支度を整えて横浜駅に向かう。東海道線のホームにはすでに電車が入線しており発車チャイムが鳴っていた。発車板を急いで確認すると、次は30分ほど先となる。慌てて横浜5時48分発・沼津行き(7時27分着)に乗り込んだ。
早朝の電車にもかかわらず込んでいるなあ……という第一印象だったのだが、ところどころ座席は空いていたので着席して一路、沼津に向かう。
途中、平塚を出た辺りから徐々に空き始め、小田原に着いたときにはガラガラの様相となった。途中、ランニングシューズにジャージという出で立ちの、いかにもランナーという人も多数見受けられ、お、仲間がいたと思ったものだが、そんな人たちも散り散りに下車していった。やっぱ焼津までは行かないか(笑)。
東海道新幹線ルートは新横浜8時22分スタート。
2時間30分以上違う(驚)
撮影・芳賀俊夫氏定刻通り7時27分に沼津着。海の幸が有名な沼津だけに駅弁は海鮮系が賑やかなのだが、売店はまだやっていなかった。なので、待ち合わせていた沼津7時32分発・静岡行き(8時28分着)に乗り込もうかと思ったが、時刻表を見ると7時40分発で島田行きがある。静岡行きだと静岡から3駅先の焼津まで再度乗り替えとなるが、島田行きならば焼津までもう乗り替えなしで直通する。静岡で駅弁購入ならば名物の鯛めしにしよう、そう考えていたのだが、停車機会が今後あまりないだろう焼津の駅弁のほうが貴重かもわからん……そう思い直して静岡行きをスルー、沼津7時40分発・島田行きに乗車した。
横浜からはるばる3時間以上かけて焼津に到着沼津から先、由比に停車中に「いまから新横浜を出ますよ」とランナー仲間H氏から連絡が入ったことに衝撃を覚えつつ(こちとらすでに2時間35分ほど乗車中)、ひときわ大きい静岡駅を通過して焼津に到着したのは9時10分。横浜から3時間22分の旅、である。
そしてこの旅を締めくくるべく、焼津駅謹製の駅弁を探したところ、焼津駅に駅弁の取り扱いはなかった(泣)。
沼津で迷うことなく静岡行きに乗車していれば、早めに動いた貯金で鯛めしを買って食べてができたはずなのに……。ただなにかを食べねばと考えた私は、駅の売店に併設されていたパン屋にて、人気ナンバーワンで地元テレビにも取り上げられた「まぐろメンチカツバーガー」、生産量日本一という“なると”を揚げパン風にした「なるとちゃん」、静岡名物「静岡黒はんぺんバーガー」を食べていた。
電車に揺られて3時間、そして揚げ物中心の朝食。それとマラソンの結果が散々だったことは別の話である。たぶん。
駅弁の代わりに焼津名物をいただきました。
左から「静岡黒はんぺんバーガー」、「なるとちゃん」、「まぐろメンチカツバーガー」帰りは静岡から東海道新幹線に乗車(鯛めしも買った)。1時間ちょっとでの横浜到着にしみじみ早いなあと思ったものだが、東海道本線3時間の旅にも確実に意義はあった。このゲームであらかた駅を取れたのもそうだが(笑)、小田原の隣り、根府川駅から先に見渡せる太平洋の輝き、そして富士駅からしばらく一緒に旅してくれる富士山の雄大さ。東海道新幹線だけではたぶん味わえないこの景色、風景のためだけに、私はまた"わざわざ"東海道本線だけの旅に突っ込んでいくことだろう――。
帰りに買った静岡名物駅弁の「元祖鯛めし」
神奈川から静岡の東海道線沿線でおなじみの鯛めし、最初にできたのはこれってことで「元祖」まあ、「今度は浜松まで」とかならともかく、「せっかくだから京都まで行くわ」なんて言い出したときにはさすがに止めてもらいたい、気はする(笑)。