manger trop――都内に2軒のアルザス料理、その1軒が桜丘にある喜び

こんな噂がある。
「東京にいれば国連に加盟している国と地域、すべての料理を食べることができる」
 


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確認したわけではないが、たしかにそうだろうなあと感じることはできる。中華やイタリアンはもちろんのこと、東京の街を歩いていると様々な国や地域の料理屋に出会える。モロッコなど以前は見つけるとビックリしたものだが、タジンのおかげで一躍有名になりいまやすっかりおなじみとなった。
東京からグッと絞って、桜丘の街を歩いてみても同じように感じることがある。数々の名店ひしめく我が国和食のお店を始め、イタリアンにフレンチにスペインに韓国に中華にペルーに……。

「当店はアルザス地方の料理をお送りしています」
そう教えてくれたのは今回登場の『manger trop(マンジェトゥロー)』の仁平浩二さん。こちらは以前、『RISOTTO CURRY STANDARD』と『代官山セレスの館in羅針』に登場いただいたビルの2階に昨年オープンしたお店で、階下に看板を見つけ、導かれるように入店してみた。ドアには店名と一緒に「brasserie」とある。
 


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「“ブラッスリー”ということだけで、フレンチ=敷居が高いみたいにも感じられちゃいまして(笑)」
そう苦笑いする仁平さんの言葉を受けて調べてみると、ブラッスリーとはフレンチながら手軽にワインやビールを飲んで楽しむというような意味と、もうひとつある。それが冒頭の「アルザス料理」を出す店。
「アルザス地方はフランスでもっとも東側にあり、ドイツと接している地域です。ストラスブールという都市をご存知の方もいるかも知れませんね。大昔からフランスの領土だったりドイツの領土だったりして、“フランス・ドイツの弾薬庫”みたいに言われている地域です。文化としてはドイツの文化圏でして、たとえば当店名物の“シュークルート”。これうを違う名前で知っているかもわかりませんよ?」
メニューにあるシュークルートの説明書きを読むと、「キャベツをビール酵母で発酵させて……」とある。キャベツを発酵させた料理、それたしかドイツ料理で……。
「そうですね、“ザワークラウト”というものです。そのキャベツとソーセージ、ベーコンのブロックなどで煮た料理がシュークルートでして、同じくドイツでソーセージや豚肉の鍋料理としておなじみの“アイスバイン”にも似ています。このように、フランスでありながらドイツのような料理であったり、またこれも当店看板のの“タルトフランベ”、非熟成のフロマージュブランというチーズを使ったアルザスのピザでして、これによりイタリアとも繋がりがあると言えます。そんなアルザスの料理をお手軽に楽しんでいただくのが『manger trop』ですので、みなさまよろしくお願いいたします(笑)」
 


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もともとはイタリアンの名店や、広尾でフレンチなどの料理人として働いていたという仁平さん。独立を考えて自由が丘などで物件を探していたところ、ここ桜丘に縁があったという。
「管理会社さんから連絡があったのですが、最初は渋谷はイヤだったんですよ(笑)。若い人たちが多いところでフレンチというのはやっぱり構えられてしまうでしょう? でもこの場所に来てみたら、渋谷の印象と違って大人の街でしたからね。桜丘でオープンしたのが昨年10月ですから、まだまだこれから頑張りたいと思いますね」
 


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聞けば都内で「アルザス料理」を掲げているのは『manger trop』とあと1軒だけだとか。東京で世界中の料理が食べられる、これやはり本当かも。しかも中でも貴重なアルザス料理店が桜丘にある幸福よ。
看板メニューの“タルトフランベ”や“シュークルート”だけでなく、メニューにはイタリアなどでも愛されているメニューなどが並ぶ。アルザスって“弾薬庫”でなく“食料庫”ですよ。そしてそれがまたお手軽プライスだ。
店名の意味をうかがったらフランス語で「食べ過ぎ」や「お腹いっぱい」とか。
間違いない。それが『manger trop』の夜。

Q・あなたの桜丘のオススメは?

「この街は個人の方のお店が多いですよね。
私もそうですが、たとえば飲食店でしたらそれだけの経験を持った方がお店をやっている。これはとても大事なことだと思います。
今日明日で飲食業界に入った人が食べ物や飲み物を提供するというのは、やはり違うと思いますから」


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看板メニューのタルトフランベからトラディショナルをチョイス。“トラディショナル”の名前の通り、定番中の定番の一品はベーコンとタマネギがその具材。イタリアンのピザとは違ったフロマージュブランの風味を召し上がれ。1000円でーす
 


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こちらもアルザス地方の名物、シュークルート。酸味が利いたキャベツとソーセージにベーコン、たまりませんな。ガブッといっちゃいましょう、1800円でどうぞ


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アルザスワインの一大生産者マルク・テンペがお送りする白ワインはリースリング。ボトル7700円でどうぞ。「フルーティでフォワグラなどに合いますよ」(仁平さん)


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同じくマルク・テンペ生産のクルビサック・パンドラ。コチラは赤でボトル7200円。「香りも味もしっかり。それでいて重すぎないので、食事中にゆっくり楽しめます」(仁平さん)


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【今回の桜な人々】
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仁平 浩二
さん

〒150-0031
渋谷区桜丘町16-8
桜丘ビル2F
 
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