日韓交流の先駆けとして知られる「浅川巧」を主人公とした映画『道〜白磁の人〜』。6月9日(土)の日本公開を前にプレミア試写会が東京・四谷の駐日韓国大使館・韓国文化院・ハンマダンホールにて行なわれ、主演の吉沢悠、ぺ・スビン、そして高橋伴明監督が舞台挨拶に登場。本作品のエンディングテーマを担当したジャズピアニスト界の“王子”ハクエイ・キムが美しい旋律のピアノ演奏で華を添えた。
Q:ご挨拶をお願いします。
高橋監督:このホールの名前の由来を先ほどうかがいましたら“ハンマダン”とは韓国語で“ひとつの庭”という意味で、そこで心をひとつにし、みんながひとつになることと聞きました。まさにこの映画は日韓の両スタッフ、俳優が心をひとつにして作りました。この映画を観ていただいた後にみなさんも心ひとつになっていただければ嬉しいです。
吉沢:この映画は日本人と韓国人のあたたかい友情を描いた作品になっています。みなさんの心になにか残るものがあると思っています。
スビン:みなさんこんにちは! チョンリム役のぺ・スビンです(日本語で)。暑さの厳しい中、情熱をもって撮影しました。日韓の両スタッフ、俳優がひとつになり、一生懸命がんばりました。両国の発展において、少しでも役に立つことができればと思っています。
Q:浅川巧役を演じられていかがでしたか?
吉沢:この作品を通して浅川巧さんの功績を知り、日本人として誇りに思っています。あの時代から日韓の友好を深めていた方がいらしたということに感動しました。浅川さんの描いていた“愛”というメッセージがみなさんに伝わればと思います。
Q:スビンさん、吉沢さんと共演されていかがでしたか?
スビン:カッコイイので良かったです(会場笑)。撮影に入る前に監督から映画の中だけではなく、現実の世界でも友情を交わしてほしいと言われました。撮影前に二人で釣りに行ったり、俳優としての悩みを話しあったりとしているうちに、本当に親しい友人になりました。この作品はチョンリムと巧の昔話ではなく、今現在も進行中の私たちの関係を描いているものだと思っています。
Q:監督からみて二人のタッグを組んだ様子はいかがでしたか?
高橋監督:二人が現実の世界で友情を交わせると、この映画は成功すると確信していました。撮影現場を離れて二人が友情を深めているところを探偵を使って調べてましたので……(会場笑)。逐一報告があり、しめしめと思っていました。お芝居ではなく真の友情を築いてくれたと思っています。
Q:吉沢さん、言葉の違うスビンさんとのコミュニケーションはどうされましたか?
吉沢:韓国語はあまり話せないので、どうしようかなって思っていたんですが、彼が中国で活動していたことがあり、私もニューヨークにいた時期もあったので、お互いに英語で話しました。あまり流暢ではなかったですけど……。でも、早い段階からお互いが心を開いていれば言葉はコミュニケーションツールとしてあまり必要ないなと思いました。一緒に釣りに行ったり、ご飯食べたり、サウナに行ったり……。
スビン:魚はですね、私がたくさん釣りました(笑)。
ここで、ペ・スビンの所属事務所の先輩、イ・ビョンホンから応援のビデオメッセージが紹介された。
Q:スビンさんいかがでしたか?
スビン:いつ撮影されたんですか? 先日ランチをご一緒したのですが、キムチチゲを分けてくれていた記憶しかないですけど……(笑)。イ・ビョンホンさんも、日韓両国の架け橋として大きな役割を果たしています。私もいろいろな方面で自分のできる領域でベストを尽くして、がんばっていきたいと思います。
そして、本作品のエンディングテーマを担当したジャズピアニストのハクエイ・キムが登場し、美しい旋律のピアノ演奏を披露した。
Q:最後にメッセージをお願いします。
キム:非常に意義のある映画だと思いますので、みなさん楽しんで観てください。
吉沢:この映画は、とても静かで温かいものが残ります。みなさんの心の中に感じるものが残りましたら、ご家族、ご友人にその思いを伝えてください。『道〜白磁の人〜』の応援団になっていただければと思います。
スビン:この映画を観て、感動を持って帰っていただければと思っています。この場に参加していただき心から感謝しています。
高橋監督:今日は天気が悪いですが、撮影中もコンセントが流されるなど雨が降り大変だったことがありました。そういう逆境を乗り越えることが喜びになった映画でした。みなさんもこの映画から、そういったものを感じとっていただきたい。逆境を乗り越えていけるみなさんになってください。
その後、マスコミ向けの記者会見が行なわれた。
「二人をキャスティングしたポイントは?」の質問に高橋監督は「吉沢くんは、イイ意味で色のついていない俳優。吉沢くん自身の浅川巧像を演じてほしかった」と、ペ・スビンについては「イ・ビョンホンにしようかペ・スビンにしようか迷ったんですけど……」とジョークを交え「彼は凄く現場でアイデアをくれるんですよ。それが、ハマったときは得した気分になりましたね」と語った。スビンは「イ・ビョンホン先輩ではなく私を選んでくれたことに感謝しています」とジョークを返し記者の笑いを誘った。「演技だけではなくすべてにおいて開かれた状態で、私の相談に耳を傾けていただき、一緒に作品を作っていくことができた」と監督に敬意をしめした。「好きなシーンは?」の質問に吉沢は「ラストに向けてのシーンですね。現場がそのシーンは大事だという空気を作ってくれて、集中力をもって望むことができました。自身、その場の記憶がないくらいのめり込んでいました。スビンさんと言葉以上に語り合っている空気が気持ちよく、映像を観ても良いシーンになったなと思います」と熱く語った。
★時代の壁を乗り越えて生きた、男二人の美しき友情の物語。
かけがえのない友情を描く物語が生まれた。浅川巧とイ・チョンリム。林業技師として、朝鮮の山を緑に戻すという使命感で結ばれた二人は、共に山々を歩き、語り合い、信頼を深めて行く。しかしチョンリムは抗日運動の容疑で投獄されてしまう。今、時代の悲しみが二人の間を切り裂こうとしていた……。『禅 ZEN』の高橋伴明監督が混迷の2012年におくる信念の道。観た人の心を涙で洗う、史実から生まれたヒューマン・ストーリーがここに誕生!
■ストーリー
1914年に朝鮮半島に渡り40歳の若さで亡くなった実在の日本人、浅川巧。豪雨の中の葬儀では、追悼する朝鮮の人々が競ってその棺を担いだと伝えられる。偏見や驕りに毒されることなく、私利私欲とは無縁に自らの道を歩んだ巧の人生は、その没後80年になる今を生きる私たちの心にも深く響く。『道〜白磁の人〜』は観る人の心をボーダレスにする、智の冒険でもあるのだ。
原作:江宮隆之「白磁の人」河出文庫刊
監督:高橋伴明
出演:吉沢悠/ぺ・スビン/酒井若菜/石垣佑磨/塩谷瞬/黒川智花/チョン・ダヌ/チョン・スジ/市川亀治郎/堀部圭亮/田中要次/大杉漣/手塚理美
配給:ティ・ジョイ
製作:小説「白磁の人」映画製作委員会/「道〜白磁の人〜」フィルムパートナーズ
後援:外務省/駐日韓国大使館 韓国文化院/日韓親善協会中央会/在日本大韓民国民団中央本部
助成:文化芸術振興費補助金/韓国映画振興委員会 助成自治体:山梨県/北杜市
公式HP:http://hakujinohito.com/
公開:6月9日(土)新宿バルト9、有楽町スバル座ほか全国ロードショー
©2012 「道〜白磁の人〜」フィルムパートナーズ