『余命1ヶ月の花嫁 』、『Life天国で君に逢えたら 』などで、“命”というテーマと向かいあい続けてきた製作チームが次回作として選んだのは、『アントキノイノチ 』(さだまさし著、幻冬舎刊)。
本書は、2009年に発売され、20代前半の若者の目線で命を真摯に見つめた爽やかな感動作として発売当時、大きな話題を呼んだ。さだまさしの小説の映画化は、『精霊流し 』(2003年公開)、『解夏 』(2004年公開)、『眉山 』(2007年公開)に続く4作目。
主演を務めるのは、2010年『告白 』、『悪人 』、『雷桜 』などで躍進目覚しい岡田将生と、榮倉奈々(映画『余命1ヶ月の花嫁』)。昨年、両名とも第33回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞、若手実力派として注目されている二人の初共演作品となる。爽やかなイメージのある二人だが、本作では複雑な過去をもつ難しい役どころに挑戦。監督は瀬々敬久。
昨年公開された『ヘヴンズ ストーリー』が、第61回ベルリン国際映画祭で、国際批評家連盟賞とNETPAC賞(最優秀アジア映画賞)の二冠を獲得するという快挙を遂げている。
高校時代のある事件がきっかけで、心を閉ざしてしまった永島杏平は、遺品整理業という仕事を通じて、“命”の現場に立ち会うことになる。そこで久保田ゆきという女性と出会い、おたがいに魅かれあう。ゆきや仕事仲間の存在により徐々に心を開き始める杏平。そんなある日、杏平はゆきの衝撃的な過去を知る。そして、ゆきは杏平の前から姿を消してしまう……。
あのときの命はきっと誰かと繋がっている。あのとき助かった命と犠牲になった命。自分の命はそんなさまざまな命と繋がりながら生きている。高校生ってなんだろう? 自分の高校時代を振り返ってみてもとても窮屈でなにかに怒りをもっていた。あの危機迫る時間はなんだったんだろう……。そんな時期に不幸な体験をした二人が心を寄せて行くのは当然のことだろう。
遺品整理業という仕事を通じて、今の世の中こんなにも孤独死が多いのかということを知らされる。しかし、どんな人間も一人では生まれて来れない。必ず二人の人間と関わりを持つ。そして、その命もまた、必ず二人の人間から……。そうやってあのときの命は繋がって行く。遺品の中には生きていたときの人の思いがたくさんつまっている。しかし、その思いを知るときにはその人はすでにいない。悲しいけど、自分が愛され
ていたことを忙しさの中で見失ってしまっているのかもしれない。
この作品において原田泰三がイイ味を出している。ここまで素晴らしい俳優だったのかと思う。彼の淡々とした演技が死というものを静かに見つめる。あのときの命とアントキノイノチ、やっぱりあのセリフを叫びたくなってしまうな。いま生かされている命を大切に前を向いてがんばって生きて行こう! 繋がっているアントキノイノチのために……。
原作:さだまさし『アントキノイノチ 』(幻冬舎文庫)
監督:瀬々敬久
出演:岡田将生/榮倉奈々/原田泰造/松坂桃李
配給:松竹
公開:11月19日、全国ロードショー
公式HP:http://www.antoki.jp/index.html
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©2011『アントキノイノチ』製作委員会