ミッション:8ミニッツ


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死ぬ前の8分間の記憶の中に潜り込み、犯人を捜し出す……。話題作といえばリメイクやヒットした原作頼りばかりでオリジナルなアイデアがないと叫ばれていたネタ切れのハリウッドに、大きな風穴を開けるSFアクション大傑作が誕生した。


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とある朝、シカゴへと向かう一台の列車。窓際の席でうたた寝から目覚めたコルター(ジェイク・ギレンホール)だが、このなんの変哲もない光景に驚愕の色を隠せない。何故なら、彼は米軍陸軍大尉として、つい先ほどまでアフガニスタンでヘリコプターを操縦していたはずなのだ。ポケットには見知らぬ男の身分証、そして向かいに座る美女は何事もなかったかのような顔で自分ににこやかに話しかけている。そして、混乱する彼にある惨事が巻き起こり……。

まず初めに、本作への賛辞を贈りたい。これはもう、素晴らしいとしかいいようがないのだ。
例えば、ひょっとして本当にこんな“機密”がアメリカのどこかで繰り広げられているのではないかと思わせてくれる指令室の設定。アメリカがそれを行なわんとする9.11以降の動機のリアリティ。『バタフライ・エフェクト 』でも知られるバタフライ効果かのように、ミッションが繰り返されるたびに少しずつ何かが違う「パラレルワールド」に潜り込むという描写の手の込みよう。
また、主役はジェイク・ギレンホールだが、彼の出世作であり、いまだに世界各地に根強いファンを持つ『ドニー・ダーコ 』も時空の歪みを想起させるものだった。本作に関しては時空は歪まず、主人公は整然と計画的に現在と過去を行き来させられ、だが短いその8分という時間の中で人間ドラマを描き尽くす。

監督は『月に囚われた男 』で見事、英国アカデミー賞新人賞を獲得したダンカン・ジョーンズ。この作品でも同じ複数の何かが描かれていたわけで、監督は同じものを違えて描くという才知に長けているのだろう。デヴィッド・ボウイの息子という親の七光りなどなくとも、その才能だけで充分自らを、そして世界を照らしている。

早くも本国アメリカでは、本作の大ヒットを受け同タイトルでのテレビ・シリーズ化も決まっている。名実ともに今年最大の話題作を見逃す手はない。


監督:ダンカン・ジョーンズ
脚本:ベン・リプリー
出演:ジェイク・ギレンホール/ミシェル・モナハン/ヴェラ・ファーミガ/ジェフリー・ライト
配給:ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン
公開:10月28日(金)全国ロードショー
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