寄り道しながら長距離電車――こんな電車の乗り方その1

まもなくお盆の夏休みという方も少なくないだろう8月上旬。今年は節電の影響で例年よりも長いお休み設定になっているという話もよく耳にする。せっかくの機会、自らの骨休めや家族との時間をゆっくり楽しみたいものだ。

さて、そんなお盆休みに鉄道で旅に出ようとしているみなさんへ向けて、今週と来週は思った以上に知られていない“鉄道の乗り方”をご案内しよう。なお、話の対象は日本最大の営業距離2万7000キロ超のJRグループでのことである。

鉄道にていくつかの旅先を回ろうとした場合、ある条件を満たしていれば、目的地の駅より手前で改札を出ても切符が回収されない「途中下車」ができる。その大前提の条件は「片道の営業距離が100キロ超」。この乗車券を持っていれば目的地まで乗車券の有効期間内であれば何回でも途中下車が可能である。たとえば東海道新幹線(東海道本線)で東京から名古屋で一泊して、翌日に新大阪まで行くという場合、乗車券は「東京→新大阪」だけでよろしい。

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往復割引も付いた福岡市内から東京都区内までの乗車券。
この場合、山陽・東海道本線のルートで、
福岡市内を出て、東京都区内に入るまでは、
有効の14日間何度でも途中下車が可能
ただし、これにはいくつかの規定がある。乗車券は前へ進むことが前提のものなので(以前のこのウンチクも同様の性質による)、引き返すことはできない。前記のように名古屋で一泊後、昨日通り過ぎた豊橋に戻って名物のいなり寿司を食べようと企図した場合は、「名古屋→豊橋」の乗車券(往復)が別に必要になるが、先に買ってある新大阪行きの乗車券は有効なので、「名古屋→新大阪」は追加運賃なく乗車できる。
また、乗車券に駅名ではなく「東京都区内→大阪市内」などとある場合は、東京都区内の駅を出るまでと大阪市内の駅に入ってからは途中下車はできない(この場合、東京都区内ならばどこからでも乗車でき、大阪市内ならばどこでも下車できる)。

なお、途中下車が有効なのは乗車券のみ(乗車回数券は不可)で、特急券などは無効となる。つまり、前記の旅行であれば「東京→名古屋」と「名古屋→新大阪」の新幹線特急券が必要だ(もちろん普通列車=東海道本線だけで行く場合は特急券は必要ない)。ちなみに乗車券を「東京→名古屋」と「名古屋→新大阪」で分けて買ってしまった場合、合計運賃は9350円。「東京→新大阪」は8510円なので、840円がオトクとなる。

もうひとつ、片道601キロ以上の営業距離がある場合、往復乗車券を購入すると運賃が往復でそれぞれ1割引となる。たとえば713キロある「東京→新青森」の片道運賃は9870円だが、往復割引が適用されると8880円まで値下がりする。

これら途中下車や往復割引などは「みどりの窓口」にて切符を購入する場合、たいていは指南してくれる事項ではあるが、鉄道旅行のウンチクのひとつとして覚えておいて損はないだろう。

最後にオマケ。往復割引は601キロ以上で適用されるので、東京駅から○○新幹線の主要駅である×××駅を往復する場合、乗車券だけ隣の△△△駅まで買っておくと、×××駅で予定通り降りても片道620円も安くなる。これは×××駅だと片道601キロに少しだけ足りないのが、△△△駅だと601キロを越えて往復割引適用となることで起こる事象だ。ただ、、これを意図した発券は自動券売機などでは差し止められることもあることから、ここでは駅名は伏せておく。まあ、調べれば一発でわかることだし、教えてくれる駅員さんもいると思うのだが(笑)。