GANTZ PERFECT ANSWER

20110421picm.jpg 死んだはずの人間が“GANTZ”に召喚され、一方的な命令とルールの中で不条理な戦いに身を投じる本シリーズ。前作『GANTZ』の続編である本作は、映画版での完結編としてその答えを観客に突き付ける。

星人=敵を殺さなければ脱出できないという理不尽な状況の中、それぞれの理由と目的を胸にそのミッションを遂行しようと躍起になる死んだはずの人間たち。いつものように GANTZ が彼らに命じたのは、玄野(二宮和也)に思いを寄せる多恵(吉高由里子)の殺害だった。多恵は星人ではないにも関わらず……。

20110421pic1.jpg そこそこ残虐なシーンがあるのにこの震災の影響でも公開延期にならなかったのは、ひとえにそのストーリーのおかげだろう。原作のコミックは現在進行形で続いているため、映画版としては独自で物語を終わらせる必要がある。そこで登場した映画オリジナルストーリーだが、なんともハートウォーミングなラストに着地しており、特に女性や家族連れにはウケのいいオチとなっている。GANTZファンがこれに納得するかどうかはまた別の問題だが、奇しくも今の時期にはピッタリのストーリーである。

前作も通して言えることだが、本シリーズで興味深いのは、必ずしも主人公たちやGANTZ側が明らかな正義として戦っているのではないということ。
ヤラれるばかりの星人の言い分のほうが一理あり、ともすれば弱者を苛めているようかのようなその殺戮風景を目にしたあとに、観客が覚える後味。また、それぞれの人間がそれぞれの正義に基づいて行動し、それらが互いに絡まりあう様は、正義の対義語が必ずしも悪とならないことをも示唆している。勧善懲悪の図では表せないその世界観の複雑さは、正しいことがまかり通らないことの多い我々のこの現実社会をも投影し、観客の共感を呼ぶのだろう。

特筆すべきは、地下鉄でのバトルシーン。黒服の軍団を演じる綾野剛や水沢奈子らの圧倒的な存在感が素晴らしい。日本映画ではないかのように惚れ惚れするその迫力のシーンは、ぜひとも劇場の大スクリーンで堪能することをお薦めする。

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GANTZ(アニメDVD)
原作:奥浩哉『GANTZ
監督:佐藤信介
脚本:渡辺雄介
出演:二宮和也 /松山ケンイチ /吉高由里子/本郷奏多/伊藤歩/田口トモロヲ/山田孝之
配給:東宝
ジャンル:邦画
公式サイト:http://gantz-movie.com/index.html

© 奥浩哉/集英社
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