第20回 邦楽編 DEAD END――「一皮剥けたな」と何様な俺

ikkieの音楽総研も今回で20回目!別に合わせたわけではないけど(笑)、今回は、先ごろ20年ぶりに復活した「DEAD END」をご紹介!

以前紹介した「LOUDNESS」や「VOW WOW」といったバンドに出会い、日本のハードロック/ヘヴィメタル(以下HR/HM)バンドにも興味を持った俺ですが、正直なところ、他の日本のHR/HMバンドはあまりピンと来ませんでした。80年代半ばから後半にかけて、ジャパニーズ・メタルブームが起こっていて、たくさんのバンドがメジャーデビューをしていたんだけども、「おまえを抱きたい〜」とか「〜だぜ」とかいう歌詞が気に入らなかったし、そんな歌詞が乗ると歌謡曲みたいに聴こえるし……と、俺の中では「HR/HMは英語じゃなきゃ!」という意識が芽生えてきていたんです。


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こちら、デビューアルバム『GHOST OF ROMANCE』

そんななか、当時はまだまだマイナーだったインディーズ・シーンで、1万枚を超えるセールスを記録した「DEAD END」がメジャーデビュー。その派手なルックスと、テクニシャン揃いということでかなり話題になっていたので、俺も一応聴いてみようかな、と、友達にレコードを借りました(『GHOST OF ROMANCE』)。そのときの印象は、「巧いけど、日本語だし、あんまり好みじゃないなあ……」という感じ。それでも、他のバンドとは違う怪奇小説のような歌詞と、楽曲の独特な世界観に惹かれる自分も感じてはいました。
そして、その歌詞を手がけるヴォーカルのMORRIEさん、歌い方は好みじゃなかったけど、その魔界の王子のような佇まいと、歌声にはなんともいえないカリスマ性があったんだよね。そんなわけで、DEAD ENDは俺の中で「好みではないけど、気になるバンド」、として記憶されることになりました。

そして俺が高校に入ったころ、DEAD ENDはファンの間で賛否両論となるメジャーでのサードアルバム、『ZERO』を発表します。俺は、二枚目『shambara』の時点でも「あら、ずいぶん印象が変わったのね」とは思っていたんだけど、この三枚目には驚かされました。それまでの怪奇趣味がほぼ無くなり、HR/HM風味もかなり抑えられ、信じられないことに『I Want Your Love』などという、ラヴソングまで収録されてるではありませんか! コアなファンからは「こんなのDEAD ENDじゃない!」なんて反応もあったようですが、俺は反対に「一皮剥けた!」と感じました。何様だって話しだけども(笑)、このアルバムにはほんとにやられた。今でもよく聴くし、聴くたびに、改めてこのバンドの凄さを実感します。

このアルバムでのMORRIEさんの歌は、それ以前より格段に歌唱力がアップしていて、歌の世界観がより強く伝わってくる。そしてなにより、ギタリストのYOUさん! 前から巧い人だな、とは思っていたけど、この『ZERO』でのギターは神懸りと言ってもいいぐらいのスーパープレイ! その歌心溢れるギターと、艶のある音色はほんとに素晴らしい。YOUさんは当時、フェンダーのストラトキャスターを弾いていたんだけども、俺はそれでストラトの魅力に初めて気付いたという……。普通ストラトって、ジミヘンやリッチー・ブラックモアとかの影響で好きになるんだろうけど、俺はYOUさんの影響でストラトが好きになりました。

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再結成とともにリリースされた『METAMORPHOSIS』

でね、高校に入ってから、俺は地元のスタジオ兼ライヴハウスに入り浸るようになっていて、たまにそこでバイトもしていたんだけど、DEAD ENDのライヴにも、最前列で柵を押さえているだけという、名ばかりの警備員として潜りこむことに成功! 体はもちろんステージ側を向いていて(笑)、YOUさんのプレイを目の前で堪能させていただきました。リハーサルも見たし、怖そうだったカリスマ、MORRIEさんにも気さくに接してもらったり。とてもいい経験をさせてもらいました。

しかし、DEAD ENDはそのツアー後、解散。そしてそのままDEAD ENDは伝説のバンドとして消えていくか……と思われていましたが、絶対に有り得ないだろう、と言われていた再結成が2009年に実現!
ニュー・アルバム『METAMORPHOSIS』まで発売されてしまったのです。正直、今でも信じられない感じ……。

DEAD ENDは、大ヒットを記録したというわけではないのだけど、ミュージシャンズ・ミュージシャンというか、セールス云々よりも記憶に残るバンドで、実際、多くのプロミュージシャン達が影響を公言しています。いわゆるヴィジュアル系バンドの人たちに多いんだけど、DEAD ENDを知らないヴィジュアル系のファンの人たちには、声を大にして言いたい! あなたの好きなあのバンドもそのバンドも、DEAD ENDの子供みたいなもんですよ!って。正直、似過ぎじゃない?ってバンドもいるし……。そういうバンドのファンを見ると、DEAD ENDを聴いてみなさい! と、言いたくなる俺でした。

今回の動画は20年前の映像。でも、古さを感じないでしょ?