エクリプス/トワイライト・サーガ

ありそうでなさそうなトンデモ・ファンタジーワールドをロマンチックな乙女好みのストーリーに仕立て、全世界の女子たちを虜にしてきた『トワイライト』シリーズ。前作での人間少女&ハンサム吸血鬼vsワイルド狼男との三角関係がさらにもつれ、ますます女子たちのハートをグッと掴むこと間違いナシのシリーズ3作目が本作だ。

高校卒業を目前にしたベラは、愛するエドワード(ヴァンパイアの彼)の手で一刻も早く自らもヴァンパイアになりたいと強く望んでいた。だが、エドワードは結婚後でなければヴァンパイアに変身することは許さない、とベラに宣言。エドワードは人間としての人生をベラに謳歌してほしかったのだ。そのころシアトルでは死者や行方不明者が多発する原因不明の事件が巻き起こり、一方、ベラの命を狙う女ヴァンパイアも不気味に動き始め……。

恋人関係とはいうものの、踏み込んだ描写が前作まではまったくなかった。なになに、今どきプラトニックなの、それともティーン向け作品だから控えているの、どうなの? という疑問が、本作では見事に解消されている。なぜエドワードは「完璧な美貌」という設定なのに真四角のぶっといもみあげ&これまたぶっといゲジゲジ眉なのか、という理由もそうした種明かしののちなら納得できる。もう今では絶滅してしまったかもしれない純愛が本シリーズで疑似体験できてしまうのも、全世界の女子たちを虜にしてしまう魅力のひとつなのだ。
狼男クンの可愛さが前作にも増して際立っているのも、また女子たちを一層クギ付けにするだろう。条件的には問題なし、親からも推奨されている狼男クンと、一緒になるには多大な困難を伴い、親からも反対されているヴァンパイアくん。障害がある後者のほうが燃えてしまうのは古今東西変わらずだが。

タイトルのエクリプスは「日食」を意味する。太陽を象徴する狼クンと月の象徴のヴァンパイア、そして地球を象徴する人間少女。光が遮られたとしても、その暗闇をも心地いいと感じるその複雑な乙女心。思春期特有のこの屈折した感情が、壮大かつ幻想的なCGとともに描かれる、切ない恋愛物語なのだ。

エクリプス/トワイライト・サーガ(Blu-ray)
原作:ステファニー・メイヤー
監督:デヴィッド・スレイド
脚本:メリッサ・ローゼンバーグ
出演:クリステン・スチュワート /ロバート・パティンソン /テイラー・ロートナー/ダコタ・ファニング
配給:角川映画
ジャンル:洋画
公式サイト:http://www.the-twilight-saga.jp/eclipse/

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