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<あらいみえこさんの事>
この所 気に掛けていた方からお手紙が届きました。ざわめきを感じつつ丁寧に折られた便箋を開く。
あらいみえこさんはもう長いお付き合いになります。20年位は経つのでしょうか。松本のクラフトフェアでお会いしたのが最初。そしてそれ以来お目にはかかっていません。ん?もう一回はお会いしたかな。
恭子さんがお店ごっこの サ ヴァ? を自宅で始めた時、みえこさんに出品をお願いしました。
ホウの木を一刀彫で彫刻し、はんなりした色をつけた作品は、お干菓子の様に優しくあたたかさに満ちています。それでいてざっくりと潔い刀さばき。きっと仕事は早いのでしょうと刀のザクザクという音を感じつつ想像します。
作品の殆どは掌に乗るサイズのもの。季節のものや年中行事に因んだもの。中には "鯉のぼりを見上げる犬" なんていうタイトルのもあって、あークラフトフェアの時にいた子ね、と思い出したり。
とりわけ、おひなさまはとても可愛いのです。私が最初に手にした椿の上にちょこんと身を寄せ合うおひなさま。しっかりと厚みのある花の上に下膨れの親指姫。可愛くてずっと出しっぱなし。今ではちょっとナチュラルカラーになってしまいましたがね。
あらいみえこさんが甲状腺ガンになられたとお聞きしたのは一年程前でしたか。もう作品は作れないとお聞きしてびっくりし、どうなさってらっしゃるか気にしつつ時が過ぎていました。
先日、気になっていた おくるみ状態のおひなさまをGET♪ 本当はおくるみではなく、蕗の薹です。コロンと何とも言えない可愛さ。これを机の前に飾って楽しみつつ、銀座通いをしていました。
そしてある日、お手紙が来たのです。書き出しは衝撃の言葉。"私が死んだら投函してもらう様に家族に頼みました" …?
書かれたのは12月。冬で木の葉が落ち、遠くまで見渡せるとあります。いつの頃逝かれたのでしょう。他に共通の知り合いもいなく知る術もありません。手紙以上に手掛かりが無く、住所を頼りに地図を見てみたり…。周りは畑なのでしょうか?拡大すると情報がなくなってしまいます。自然豊かな所だったのか、寂しい場所だったのか…。
ガンの種類としては一年後の生存率10%という厳しい類。その中、一年を宝物の様に感じながら生きたそうです。ちょっと短かったけれど良い人生でした、と。
みえこさん、良い人生を過ごされて本当に良かったですね。最期は大好きな景色を見ることが出来ましたか? あの歌の様に風になって行きたかった所へと書いてましたが、もう行かれましたか? 私の所へも来て下さいね。
ミセスという雑誌に私のbijouxが掲載された時、私の仕事についてお話しした事はなかったにも関わらず、直ぐ気付いてお電話下さいましたね。嬉しかったです♪ ものづくり同士、もっとお話ししたかった…。
みえこさんの可愛い子たちは彼方此方へ散らばって、みえこさんの生きた証となっている事でしょう。みんなに優しさと心地良い潔さを届けていますよ。
もうすぐ春です。時々暖かい日差しの日もあります。おひなさまと哀しみを分かち合いながら、"それではまた、いつの日にか" の言葉を噛み締めています。
——- イベントのお知らせ ———
えんどう もみ 2013 Spring Collection
ワールド・ジュエリー・フォーラム
松屋銀座1階 Space of GINZA
2月27日(水)〜3月5日(火)
ウェルカムドリンクサービス(27日のみ)
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Gallery O2『えんどうもみ新作展』の様子はこちら
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